陸ワサビ栽培本格化 名産地化目指す

JAあづみ
ハウスで陸ワサビの定植作業をするJA職員ら
ハウスで陸ワサビの定植作業をするJA職員ら

JAあづみは、地元安曇野市のワサビ加工メーカー・マル井と連携し、「陸(おか)ワサビ」の本格栽培に乗り出した。
陸ワサビは、秋から春にかけてハウスで栽培し、収穫したワサビは同社の全量買い取りで、チューブタイプなど加工品の原料となる。
豊富な清流を使った水ワサビ栽培とは対照的に、超促成栽培で寒さに強く、農閑期を中心に栽培出来るなど、生産者の労力負担が少なく、冬場のハウスの加温が不要など生産コストを抑えられる利点を生かし、「名産地化」を目指す。
同JAと同社は2020年10月から、管内のハウス3ヶ所3アールで実証栽培を開始。1アール当たり1,000本の苗を植え、水やりなどの管理を続けた。2021年5月中旬に初めて収穫し、同社に全量出荷したところ約80万円の実績だった。反収が良く、労力負担や生産コストが抑えられるなど生産振興に手ごたえを掴んでいる。
同JAでは6月以降、JA広報誌や栽培講習会などを通じて新規栽培希望者を募集したところ、8人の生産者が新規栽培を希望している(10月19日時点)。栽培面積は、約10倍の33アールにまで拡大する見込みで、中には新たに5棟のビニールハウスを建設した生産者もいる。
同JAの二村恵常務理事は「ハウスを有効利用した転換作物として生産者に周知し、安曇野の名産物にしたい。いずれはこの地を一大産地にしていきたい」と意気込んだ。
同社の井口彰代表取締役社長は「わさびは国の宝。地域の産業ブランドとして安曇野がその発信地になることを楽しみに見守っている。魚や肉、フランス料理など多様なニーズに対応する提案と製品を作っていく」と力を込めた。
このほど、安曇野市穂高のビニールハウス5棟に陸ワサビの苗を定植。生産者やJA職員ら約10人が参加し、約10,000本の苗を植え付けた。10月31日までに管内全体で17,000本の苗を植えて付けた。
生産者は「夏秋イチゴを栽培しようと考えていたが、反収が良く労力やコストが抑えられる陸ワサビに着目した。今後、雇用創出に繋げられるくらい規模を拡大したい」と話した。

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