脱炭素農業へ 生産現場から貢献目指す

JAあづみ
無煙炭化器を使って剪定枝を効率的に炭にする実演会
無煙炭化器を使って剪定枝を効率的に炭にする実演会

JAあづみりんご部会梓支部と梓川果樹協議会は7日、松本市梓川のリンゴ園で中信地区で初めてとなる無煙炭化器を使った燃焼実演会を開いた。生産者やJA役職員、行政関係者ら約20人が見守る中、最新鋭の無煙炭化器を使い、果樹の剪定で出た枝、約40キロを15分ほどで炭にした。効率的に炭にする燃焼方法を確かめた。
この実演会は剪定枝を炭にして農地に戻すことで地球温暖化の原因である二酸化炭素(CO2)の排出量を削減し、農業生産現場から貢献しようとの想いから企画した。この冬、単位当たりの剪定枝の排出量や炭化量などのデータを取り、炭を果樹園に戻すことでどのくらいCO2削減に繋がるかを検証する。結果は支部や協議会内で共有する。
従来、果樹の剪定で出た枝は燃やして灰にするのが主流だが、樹木が吸収したCO2は燃やすことで大気中に再び放出されてしまう。炭にすることでCO2を炭素の形で固定でき、炭を園地にまけばCO2を土壌に閉じ込められるという。
剪定枝を炭化して園地に戻す取り組みは山梨県が推進している。土壌中の炭素量を1年間に0.4%ずつ増やせば、人為的に排出される二酸化炭素の増加分を相殺し、温暖化を防止できる「4パーミルイニシアチブ」という国際的な考えに基づいている。同県は独自の認証基準を策定。脱炭素農業に取り組む農家の認証制度を創設するなどCO2削減に精力的に取り組んでいる。
同JAりんご部会梓支部の二村賢二支部長(64)は「地球温暖化はほっておけない。農業にもなにかできることはないかと考えた。CO2削減を考えるきっかけにしたい」と意気込んだ。

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