果樹栽培向けスマート農業研修会 リンゴ圃場で実演

JAあづみ
製品紹介をするメーカー担当者(左)
製品紹介をするメーカー担当者(左)

ICT(情報通信技術)やロボット技術を活用した「スマート農業」の知識習得のため、長野県農協生産資材事業推進協議会は28日、安曇野市三郷温のリンゴ圃場で「スマート農業研修会」を開いた。
中信地区の各JA営農指導員や農業機械、資材担当者、JA全農長野ら約40人が参加。メーカー担当者による技術や製品の説明、実演が行われた。
圃場には、果樹栽培に適したスマート農業技術を搭載した最新鋭の農業機械4台が用意され、液剤散布や草刈りなど5つの作業を1台で可能にする農業用無人車や空気圧を利用した人工筋肉で荷物の持ち上げなどを助けるスーツ、電動運搬カートなどの製品の特徴を紹介した。参加者は各担当者に導入時のメリットや操作方法、価格帯などを聞いていた。
同JAでは今後、生産部会で集まる機会にデモ(実体験)を通じて、紹介していく方針だ。
実演で使ったロボット草刈り機はスマホ専用の操作アプリに稼働時間や刈高(2cm~6cm)を設定すれば自宅など安心・安全な場所から作業を行うことが出来る。機種により異なるが3500平方メートルの圃場を3週間ほどで刈り終える。約30°の傾斜地でも作業可能。充電は全自動で1時間の充電で約2時間稼働する。
果樹園における草刈作業は重労働で長時間の作業が強いられるうえ身体への負担が大きく、傾斜地や炎天下での作業は農作業事故を誘発する。
草刈作業に費やす時間や事故のリスクを軽減することで品質管理など「所得向上」に繋がる作業時間の増加や農業のイメージアップ、担い手不足の解消など農業が抱える問題解決の一助になる可能性を秘めている。
一方、すでに市販されているものの導入に関しては課題も多い。安心・安全な場所からスマホ一つで圃場の維持、管理が可能であり優れた能力を持つが、電力確保のための設備工事費用や一台約60万円(最大作業領域3500平方メートル)と決して安価ではない。
JA営農経済事業部農業企画課の丸山昌則課長は「開発メーカーには利用する農業者の意見を取り入れて低コストでの供給に力を注いで欲しい。多岐に渡るスマート技術は労働力不足の補完と共に農業技術革新の始まりだと思う。地域の農業生産に弾みになる事を期待する」と話した。

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