JAみなみ信州は30日、下伊那郡高森町の株式会社マツザワと協力して地元農家の摘果りんごの受け入れを行った。この日は大11箱、中244箱(1ケース10kg)の持ち込みがあった。今年はおよそ50件の農家から60トンの受け入れを予定している。
今年のりんごの生育状況は順調なため、加工するのに比較的取り扱いやすく味も良い「ふじ」のみに受け入れ品種を限定している。7月20日を初回に9月21日まで計17回の受け入れを行っていく。
同社での摘果りんごの受け入れは10年ほど前から行っている。当初は県外からりんごを仕入れていた同社から地元のりんごで作れないかとJAに相談があった。JAでは摘果りんごの活用を検討し、当時の営農部果実課長が中心となってりんご部会で生産者に理解と協力を求め、部会全体で取り組むことになった。その取り組みが定着し毎年多くの摘果りんごが集まり、現在は原料のりんごを地元産のみにこだわり製造している。摘果りんごはりんごを栽培する過程で摘み取る果実で本来は廃棄するものだが、同社を代表する銘菓「りんご乙女」の原料としてサイズや酸味が丁度良いという。
今年からこれまでの56㎜~72㎜の規格より大きい摘果りんごも「大」として受け入れを始めた。同社では「大」はシードルやアップルパイの原料にする予定。農家にとっては受け入れの幅が広がりさらなる収入増となる。
この日21ケースを持ち込んだ飯田市鼎の常盤重樹さん(70)は「摘果りんごの持ち込みは今年で4年目。以前までは処分していた摘果りんごがこうして原料として受け入れもらえることはありがたい。買い取ってもらえると思うと躊躇なく、早く判断して摘果することができるのが一番良い点」と話し、今年は合計で85ケースを持ち込む予定だという。
同社の森本康雄取締役は「この取り組みは、今話題のSDGsの12番目の目標である"作る責任、使う責任"まさにこれに対する持続可能な取り組み。これは地域に根ざしたJAとだからこそできることだと思っている。これからもぜひ協力して美味しい商品を作っていきたい」と話した。
同JA営農部販売課の松重恵佑さんは「生産者手取りの増大に直結する取り組みで大変ありがたい。美味しいりんごを提供することで地元企業に貢献できていることも嬉しい」と話した。
同社の「りんご乙女」は国際優秀味覚コンテスト(iTQi、ベルギー)で2009年から13年連続で最高位3つ星を受賞している。