JA信州諏訪食の安全・安心確保対策本部会議を7月13日、茅野市のJA仲町会館大会議室で開いた。同部構成員の各生産専門委員長、管内行政機関の職員、JA役職員ら20人が出席し、昨年度の事業報告を確認。今年度も、農薬の適正使用や野菜GAP(生産工程管理)への取組みを継続することで一致した。
同会議は、消費者に向けてクリーンな産地のイメージを高めるため、全ての農産物と加工食品の安全・安心確保に向けた体制を整備・強化することを目的に、この時期に開いている。
昨年度は、栽培指導会や営農指導員による農薬の適正使用の呼びかけ、登録農薬でも残留率が高い薬剤は自主規制を行うなど、安全確保に向けた多面的な取組みを行い、大きな事故や違反はなかった。引き続き、残留農薬の発生を防ぐため、(1)散布器機の洗浄(2)近隣のほ場への「農薬飛散(ドリフト)」防止に、遮蔽作物や飛散防止ネットを活用する(3)使用時期および使用回数などの使用基準をラベルで確認等、徹底を行う。
また、野菜生産者のGAPシートを分析した結果、危険な作業の確認と危険箇所の把握ができていない生産者は昨年比で68人減った。要改善項目に挙げられた「毒物劇物取締法に基づいた農薬保管」と、「農薬を必要な散布量に調合し、使い切る」取組みについて、啓蒙を続ける。
今年度も、荷受け前に農作物の安全を確認するため、生産者の栽培日誌の記帳を徹底。農村工学研究所にて、「セルリー」「パセリ」「ブロッコリー」などのJA主力品目を中心に残留農薬自主検査も行う。
同本部長の小松八郎組合長は「安全・安心は農業の必須条件であることを心得て、生産者への発信・指導を続けていきたい」と話していた。
後半の学習会では、日産化学株式会社の長岡武志主査が「安全安心の世界的潮流」と題して講演を行った。長岡主査は、2019年に行った欧州の農家や市場、食品安全機関視察の経験から、「ヨーロッパは20年かけて、減化学肥料・減農薬を進めてきている」とし、「文化や気候の違う日本はさらに長い年月がかかるかもしれないが、世界で取り組んでいる持続的農業、省資源のためにも、少しずつでも今のやり方から変えていけるよう、農薬以外で生産に必要な資材の研究などを進めていきたい」と話した。