飯田市上郷の上郷小学校は8日、10年ぶりのお米作りが始まり、5年生70人が田植えを行った。
同校では以前作っていた田んぼが駐車場になって使えなくなり、田んぼ作業ができずにいた。その間りんごの摘果など農業に触れる活動をしてきたが、「今年は子供たちに米作りをさせたい。みんなで田んぼ作業がしたい」と上郷小学校からJAに相談があった。そこでJA上郷支所営農課で地域の生産者をあたったところ、同地区の櫛原博人さん(56)が快く田んぼを提供し、10年ぶりに米作りを再開した。櫛原さんは田植えをするにあたり、代掻きや草刈りなど近所の方と協力して準備し子供たちを迎えた。
この日は同JA営農課職員から田植えの仕方の説明を受け、およそ5アールの田んぼ半分にうるち米の苗「風さやか」を植えた。児童たちは稲を植える係、印の付いた紐を持つ係、稲を渡す係に別れ「動かしまーす!植えてくださーい!」「こっちにも稲くださーい!」など声を掛け合いながら賑やかに作業を行った。
櫛原さんは「子供たちの元気で楽しそうな姿が見られて嬉しい。これからも続けていきたい。来年は御柱祭があり、この田んぼの藁を祭の縄に使いたいと考えている。子供たちと一緒に祭にも参加できたら」と話した。
この日田植え作業をする児童を見た同小学校5年生担当の松沢徹教諭(45)は「普段自然に触れる機会が少ない中、今日は子供たちがとてものびのび作業できていた。収穫後どのようにするかは子供たちと相談しながら進めるが、収穫祭ができたらうれしい」と話した。
同支所営農課の小池洋司課長は「米作りをさせたいという先生の熱意にJAとしてどうしても応えたかった。田んぼ探しに苦労したが、このような立派な田んぼを貸していただけることに感謝している。これからJAも協力して子供たちと米作りを頑張っていきたい」と話した。
この田んぼでは、後日残り半分に同じく5年生がもち米「モリモリモチ」を植え、10月に稲刈りを予定している。