JAグリーン長野は2021年度、「モモせん孔細菌病対策委員会」を設置した。JA営農部営農技術員と生産販売部を中心に、もも部会代表と長野県農業農村支援センターが参画。従来の耕種的防除の周知徹底、せん孔細菌病の発生抑止に向けた対策方法の検討・実施、JA・生産者(部会)との情報共有、発生拡大時の行政等への支援要請につなげる。「令和元年台風19号」による減産に苦しむなか、「モモ産地の維持・拡大」に向けて、発生抑止に力を入れていく考えだ。
長野市篠ノ井の営農センターで5月19日に開いた会議では、安藤猛常務(委員長)とJAもも部会宮崎淳一部会長(副委員長)、営農部・生産販売部職員が出席し、昨年度の「モモせん孔細菌病」発生実態を確認。JA調べによると約8割の園で多少なり発生し、多発生とみられる園が3割程度となった。集荷では、せん孔細菌病被害果を特別集荷し、3,878ケース(1ケース=5kg)と全体実績の1%だったが、菌の密度を下げるための枝病斑の大量切除による着果量の減少、通常出荷品の果実被害による品質低下、規格外品として加工向けや廃棄した分も含めると、その影響は非常に大きいものだった。
JAでは21年産の収穫に向け、20年産収穫直後から、生産者と協力し、徹底的に防除等を行い、対象薬剤の助成等を行ってきた。対策委員の営農技術員や長野県病害虫防除所の調査によると、現状、生産者の努力と前年に台風がなかったこと、また5月の気温が低かったことから、発生状況は平年並みから平年以下に抑えられているが、摘果を始めた生産者からは、昨年よりは少ないが発生がみられるとの声も寄せられ、摘果作業に合わせた枝病斑の切除が引き続き必要であることを共有。今後営農技術員がほ場巡回等を行うなかで、「生産量を減らさない」という意気込みで、生産者への対策の徹底を呼び掛けるほか、現状や今後の情勢に応じた販売対応策、県としての対応へ働きかけを強めることなどを確認した。安藤常務は「台風に続き、モモせん孔細菌病と産地として非常に苦しい状況だが、現場の状況を確認し何とか対策を講じたい」と話した。