長野市篠ノ井の住民グループ「あいの里・芋煮会」は5月5日、里芋の定植作業を機に、今年の活動を本格化させた。この会は、里芋の共同栽培を通じ、「地域交流」「遊休農地の解消」「農業への理解醸成」をめざしたもので、篠ノ井会地区の農家組合と公民館役員が企画し、今年で2年目。昨年より3戸多い39戸が会員となり、「農業」をきっかけに、地域の絆を深める。
里芋定植は、昨年同様、地区内の遊休化した農地18アールで開催。会の役員15人が、事前に連作対策として昨年植えた所とは別の場所約10アールに、13列の植え溝を掘るなど準備。里芋は、昨年収穫し保管しておいたもの約100㎏を用意した。定植には60代の会員を中心に、家族連れまで会員ら38人が参加。里芋栽培を手掛ける農家の指導の下、種芋の選び方や定植方法、今後の管理のポイントを学んで作業開始。作業を分担し協力し合い、また近況など話をしながら、1時間程度で作業を終えた。今年会員となった本郷幸博さん(65)は、「農業はほとんどやったことなく、実際にやってみると結構大変だと感じた」と感想を寄せるとともに、「定年で交流機会も少なくなるので、地域の皆さんと交流を深めたい」と会の活動に期待を寄せた。
会の発起人で、会長の久保田敏夫さん(68)は、「事前の準備など大変なこともあるが、自分の好きな農業を通じてみなさんと交流できることが何より良くやりがい。ますます楽しい活動にし、若い方など多くの方に地元に溶け込んでもらい、農業や地域の活性化につながれば嬉しい」と話した。
今後、草取りや収穫作業を会員全員で行う予定。また、会長の果樹園でサクランボ等の収穫体験も企画する。会の一大イベント、掘った芋を皆で食す「芋煮会」は、昨年は新型コロナウイルスの影響で開催できなかったが、「今年こそは」と期待が高まっている。
久保田さんによると、会の拠点、「篠ノ井会」地区は、優良農地が多数ある一方で専業農家など農家数は減少。また、新築物件やアパートなど、新たな若い住民や非農家世代が増え、約850戸があるものの、地域とのつながりが薄い住民も多い。会員の誘い合いで引き続き会員を増やしながら、農業を通じた交流の活性化につなげる考えだ。