JAみなみ信州は11日、飯田市鼎の同JA本所で2020年度市田柿生産販売反省会を行った。長野県南信州農業農村支援センターや全農長野職員を招き、柿部会員や同JA役職員ら約70人が出席。前年度の生産経過と販売取組みを確認し、今年度の数量や品質確保に向けた市場動向、想定される天候等についての対策などが確認された。東京、名古屋、大阪の市場関係者もWebで参加し、品質や数量確保に向けた市場動向や市場からの要望も確認した。
2020年度の販売結果は出荷量5.1kg換算176,802ケース(前年対比79.6%)と前年より減少、平均価格は11,261円(前年対比111.3%)、販売金額約21億4千万円(前年対比85.4%)となった。
2020年度の生産では3月から4月の低温により凍霜害が発生、また7月の長雨、8月の高温干ばつによる生理落果が多発。結果として原料柿の減少に繋がった。加工期となる11月、温暖低湿条件が続き乾燥が進んだことから、生産者からの受け入れピークが例年より早まり12月15日以前になった。
販売面では、最需要期となる年末の受け入れ数量減に加え、予定していたトップセールスや消費宣伝会が中止となり厳しい状況だったが、出荷調整による年末の出荷数量確保や価格安定に努めた。今年2月の春節を中心とした海外輸出は、台湾やシンガポールで定期的なプロモーション活動を行い、53トン(前年比115%)と拡大に努め、年明けの価格維持につなげた。
同JAの寺沢寿男組合長は「今年は異常気象の中、市田柿生産、加工に大変苦労されたと思います。販売単価では良い成果が得られましたが、数量については温暖化が進んでいるこれからについても大きな課題です。これまで以上に職員による現場巡回指導を強化して参りますので、部会の皆さんからも意見を出してもらい、一丸となって市田柿生産販売に取り組みましょう」と話した。
同反省会では、今年6月に一部法改正する食品衛生法についても説明があった。今回の改正に含まれる(1)営業許可制度の見直し(2)営業届出制度の見直し(3)「HACCP(ハサップ)に沿った衛生管理」の義務化などが、市田柿加工を行う生産者も対象となる。JAが営業許可届出の代行申請を行うことを確認し、施行後、事業者ごとに設置が必要となる食品衛生責任者の資格取得条件についてJAの該当省庁への働きかけについても経過を説明した。