ブドウ販売高10億円突破へ

JAグリーン長野
せん定ほ場巡回でせん定方法をアドバイスする営農技術員
せん定ほ場巡回でせん定方法をアドバイスする営農技術員

JAグリーン長野のブドウ販売高が2021年度、初めて10億円(前年比117%)を突破した。消費需要に応じ、主流販売していた有核品種(巨峰等)から、無核品種(シャインマスカット、ナガノパープル)に品種転換したことが主な要因。生産者の農業所得増大に貢献している。
同JAのブドウ栽培は、長野県内でも早期に始まり、「巨峰」を主力に地元・関東方面を好調に出荷。しかし、モモ主力の産地であること、栽培に手間がかかること、また生産者の高齢化に伴い、生産者数・量は横ばいから減少が続いた。2006から2007年にかけ、長野市篠ノ井地区を中心に凍害に遭い、ブドウの樹の多くが枯死するなど、影響を受けた。その中で2007年度、ブドウ栽培を維持へ、部会内に新品種の導入検討を行う新グループを結成し、「シャインマスカット」「ナガノパープル」などの無核品種の栽培方法研究・苗木の導入を行ってきた。同時に、「皮ごと食べられる」「種がない」ブドウが消費者に徐々に浸透し、市場からも味や棚持ちの良さなどから年々需要が拡大。これを追い風に、部会全体で積極的に無核品種を推進。苗木の注文数(導入数)は導入当初(2007年度)は314本、導入のピークは2016年度の870本と今日まで生産拡大が続いている。出荷量は、導入当時(2007年度)はブドウ出荷量1,139トンのうち巨峰が1,052トン(92.3%)だったが、2014年度には無核品種が有核品種(巨峰)の出荷量を抜いた。2020年度のブドウ出荷量は673トン、実績は無核品種が91.0%を占め、販売高は平成19年よりも3億円多い10億円の実績を確保した。
一方で、産地間競争も激化。JAとぶどう部会では、「選ばれる産地」をめざして、市場の要請する「3L~4L」サイズ中心の販売を展開するべく、講習会やほ場巡回を通じ、作業管理を徹底。また、2017年度には集・出荷拠点を3拠点から2拠点に集約し、出荷物の検品体制の強化とこれによる出荷規格・品質の統一、重点市場へ集約出荷、個人冷蔵庫導入による長期販売など、単価向上に取り組み、市場からの評価と販売高の伸長といった一定の成果につながっている。
深美孝夫ぶどう部会長は「天候不順の影響で苦しんだが、生産者の努力により、単価確保に結び付いた。これから新品種(クイーンルージュ)の出荷も始まるので、10億円を足掛かりに、技術の向上、選果基準の徹底に取り組み、グリーン長野のイメージアップと、消費者を裏切ることのないブドウ出荷につなげたい」と2021年度の生産に意欲を見せる。
JAでは、引き続き生産者と協力し、生産量の拡大、品質の安定・統一に向けた講習会・検品等を通じ、販売高の拡大と生産者手取りの増大につなげていく考えだ。

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