伝統行事「成り木責め」で豊作祈願

JAみなみ信州
成り木責めでナタを振り下ろす熊谷部会長
成り木責めでナタを振り下ろす熊谷部会長

飯田下伊那地域の特産品「市田柿」の農作を願う伝統行事「成り木責め」が20日、飯田市上郷のJAみなみ信州いいだ果実選果場近くの圃場で行われた。
同JA花き部会の熊谷和郎部会長(71)が園主役となり「成りそうろう(候)か 切りそうろうか 成らんというならぶち切るぞ」と柿の木をナタで2、3度切込みを入れた。
柿の木役を務めた同JA果実柿課の羽生弘之課長が「成ります 成ります 鈴なりに」と応じ、傷口にお粥を塗りお神酒を供えた。
熊谷部会長は「子どものころに見た様子を思い出し、掛け声をかけました。秋には沢山の柿が成ってもらいたい」と話した。
成り木責めは小正月の早朝に行う行事として古くは多くの農家で見られた伝統行事だが、現在はほとんど見られなくなった。
飯田市農業振興センターは、この伝統行事を継承していこうと、2011年から市田柿剪定講習会に合わせて行っている。
生産者団体と行政で組織する市田柿ブランド推進協議会は、昨年市田柿の名称で販売を開始し100周年を迎えた記念として、同JAと下伊那園芸農業協同組合の2団体でそれぞれ成り木責めを行った。
熊谷部会長は「昨年は長雨や干ばつの影響から不作の年になってしまった。今年こそは良い年になるよう願います。市田柿とともに古くから継承する伝統行事も大切に、みんなで守っていきたい」と話した。

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