伊那市美篶の春日彰さん(54)が制作したからくり人形がJA上伊那美篶手良支所金融窓口に飾られ、詐欺被害防止を呼び掛けた。
春日さんが制作したのは木材をメインに使ったオートマタ(からくり人形)。「振り込め詐欺」と鳥の「白鷺(シラサギ)」を掛けたアイデアから、孫のふりをして泣きながら電話をしてくるサギが、半回転すると真の姿である悪人顔のサギに変わる手回しのからくり人形だ。展示用に新型コロナウイルス感染症対策のため、ハンドルにモーターを後付けして自動化した。完成した作品を多くの人に見てもらい少しでも詐欺被害防止の役に立てばと同支所へと持ち込んだ。
春日さんはチューリップやダリアの鉢花を栽培する農家でJA上伊那の正組合員。農業の傍ら、空いた時間や農閑期に制作している。11年前にプロ作家の作品に感銘を受け、本や個展見学からの独学と試行錯誤で知識を深めた。当初はコンピューター制御とモーターで、音楽に合わせて自動で動く大掛かりなからくり人形を制作。しかし、制作に半年もの期間を要することから、4年前に、1ヵ月程度で制作可能なモーターを使わず手でハンドルを回して動くタイプに切り替えた。現在まで合わせて50体ほどを制作し、「からくりきらりん」の名でSNSに、からくり人形が動く様子や制作過程を投稿。他にも伊那市西箕輪のはびろ農業公園「みはらしファーム」のイベントを始め、同市立図書館で個展を開くなどの活動もしている。
春日さんは「いろんな人に見てもらえるいい機会になった。今後は作品の数と質を上げ、より大きな個展も開いていきたい」と目標を話した。
詐欺被害防止からくり人形は12月末まで同支所に飾られ、来所者の目を引いた。