上伊那農業農村支援センターや伊那市、JA上伊那は12月21日、「農業の魅力発見セミナー」を南箕輪村の上伊那農業高校で開いた。就農希望者や農業関係の学校へ進学を希望する生徒約40人が参加。管内へ就農した若手農業者やJA職員らが、就農するにあたっての大切なことや就農に至った経緯、これまでの経験から身についた力、上伊那地域の良さについて講演。生徒に地元での就農や上伊那での定住を呼びかけた。
このセミナーは、地元の農業高校生が農業と上伊那地域の魅力を再発見し、将来、若者の力で地域や農業を支えようとするきっかけづくりの一つとして2015年から開催している。
講演では駒ヶ根市で水稲などを栽培しながら地域農業の担い手として活躍する斉藤直人さん(37)は、就農について「経営者になるので経営理念は大事。自分が何のために何を作っているのかがはっきりと言えるように」と話した。伊那市長谷の輸出米専門農業法人「Wakka Agri」で統括マネージャーを務める細谷啓太さん(32)は、大学時代の経験から肥料や農薬を使わない自然栽培に興味を持ったこと、海外では玄米が多く販売され、農薬が付着する心配がない自然栽培は玄米に適していることなどを話した。そして同高校の卒業生でJA米穀・野菜営農指導員の大澤達也さん(28)は、「農業に寄り添って10年」と題し、同高校で学んだ知識や資格がJAで役に立っていること、学生時代の友人が今でも相談に乗ってくれたりと力になってくれることなどを伝えた。生徒はメモを取りながら真剣なまなざしで発表を聞いた。
JA上伊那の下村篤営農経済担当常務はあいさつで「農業一つにしてもJAや伊那市農業農村支援センターなど様々な立場から携わることができる。これからも農業への関心を忘れることなく将来の上伊那の農業を担ってほしい」と期待した。