JAみなみ信州と南信14市町村で構成する「長野県 南信州・担い手就農プロデュース」は18日、飯田合同庁舎で行われた長野県南信州地域振興局主催の「地域発 元気づくり支援金」令和元年度優良事例表彰式で知事賞を受賞した。JA、市町村、広域連合、県が連携して南信州地域への移住、就農を促進する活動が評価された。加えて、発足当初の8行政との連携から令和2年度には管内14市町村すべてが参画し南信州一体となったことによる今後の将来性も高く評価された。
同表彰は、各種団体が行う地域づくり活動を長野県が助成する「同支援金」を活用した事業のうち、着眼点や地域への波及効果などが優れ、今後のモデルとなる事業を優良事例として選定し、機運を高めることが目的。同プロデュースは、知事賞の表彰条件である魅力あふれる地域の元気づくりへの貢献が大きい事業と認められた。
同JAでは、平成28年に地域農業者の減少対策として担い手や新規就農者の育成と支援を継続的に行っていく専門部署として「担い手支援室」を設置。新規就農者の掘り起こしから誘致・勧誘について行政へ協力を依頼する中で、平成29年に8市町村と連携して同プロデュースを立ち上げた。Iターン就農を促進していくため、行政と連携して東京・名古屋の都市部と南信州で就農・移住相談会を始めた。また、現地訪問見学会を夏・秋・冬に3回開催し、相談会の参加者を中心に南信州地域の農業の実情を確認してもらい、移住・就農の後押しを行っている。
平成30年からは、独立就農するために必要な栽培技術や知識の習得してもらう「担い手就農研修制度」を立ち上げ、研修生の受け入れをスタートさせた。就農後早期に収入が見込める夏秋きゅうりと市田柿の栽培を組み合わせた複合経営をベースに2年間の研修を行っている。また、研修修了後の円滑な就農を応援するため、農業施設や定住先の取得から資金繰りまでの相談も官民協働体制で行っている。平成30年度に受け入れた第1期生4名も、今年3月同研修を修了し、4月より当地域で移住・就農することができ、着実に成果が実っている。
同プロデュース総合事務局で同JA担い手支援室所長の澤栁実也さんは「足掛け4年の取り組みで、今年の春、研修を修了した4名の方が当地域で移住・就農してもらうことができた。プロデュースの取り組みを通して、この地域の約250億円規模の農業産業をリニア時代を迎える未来へ維持していきたい」と熱い思いを語った。
今年は新型コロナウイルス感染症の影響で、相談会や見学会を予定通りには実施できなかったが、現時点で同研修の次期研修生の受け入れは計画通りの人数が確保できる見通し。