希少な花「ユーフォルビア・フルゲンス」を栽培

JAグリーン長野
荷造りをすすめる山岸さん
荷造りをすすめる山岸さん

JAグリーン長野で花「ユーフォルビア・フルゲンス」の出荷が始まっている。メキシコ原産で、全国的にも希少な品目で、今年は長野市篠ノ井の山岸懿(あつし)さんだけが栽培。年々生産者が減るなかで、花き部会への栽培導入初期から栽培を続けるの山岸さんは、「この花を絶やすことのないように」と、栽培を続けている。今年は11月21日から出荷を始め、コロナで花需要が落ち込む中でも安定販売をするために、出荷に大きな山を作らず、クリスマスや年末年始需要に即して12月下旬頃まで、約2万本の出荷をめざしている。
ユーフォルビア・フルゲンスは、30年ほど前に、JA花き部会に導入された。「挿し木」によって増やし、出荷前の2ヶ月ほどは、ビニールハウス内で遮光し日照時間を調整する「短日処理」を施して、11月下旬の需要に合わせて出荷を調整する。赤・黄色・オレンジ・白の鮮やかな4色、小ぶりな花、優雅な弧を描く枝ぶりから、クリスマス・年末年始に見栄えのする花として、市場・実需者からも好評を得ていると山岸さんは話す。
山岸さんによると、「価格も安定していて、収入も確保できるが、ハウスなど初期投資面でハードルが高く、始めるまでに思い切りも必要」という。花き部会で施設を持つ生産者に働き掛けているが、施設を持つ生産者のほとんどが栽培時期のかぶるトルコギキョウ栽培者であることから、生産量のバランスが課題となっている。ただ、生産者間で苗を融通し合いながら栽培できること、希少性や需要期の出荷で、安定的な価格販売が出来ていることを利点として、新規栽培者・担い手・他品目栽培者で興味のある生産者などを募る。「俺は来年も作る予定だけど...一緒に作る仲間がいないと、寂しい」と山岸さんは苦笑いし、ユーフォルビアの花言葉「協力を得る」のとおり、仲間を募り、生産維持に務めたい考えだ。
今年、山岸さんは5アールに5千本を定植。苗の段階で発根が少なく、作付量に影響したが、施設内では、優雅に弧を描き、彩り鮮やかなユーフォルビア・フルゲンスが出荷を待ちわびる。山岸さんは、日に約1,000本を週三回JAに持ち込む。希少性が高く、JAでは引き続き、栽培者確保へ、現地案内などを行いながら、生産者の増加・産地維持につなげたい考えだ。

MENU