伝統行事を継承、農作を願い、繭玉・餅花づくり

JAみなみ信州
サカキの枝先に繭玉を飾り付ける子ども
サカキの枝先に繭玉を飾り付ける子ども

飯田市川路の川路まちづくり委員会、飯田市農業振興センター、JAみなみ信州農家組合長会、同JA女性部などで構成する川路地区農業振興会議(関島正憲会長)は21日、同JA川路事業所で収穫感謝祭を行った。
地元住民30名ほどが集まり、餅つき、繭玉・餅花づくりを行い、飾り付けを行った。
同地区はかつて、稲作と養蚕が盛んで、1930年ころは同地区で140トンの繭が生産され、重要な産業だった。
当時は小正月、同地区のほとんどの家庭で豊作祈願に繭玉・餅花づくりを行い、玄関や神棚などに飾っていたが、蚕糸業の衰退とともにこうした伝統も失いつつあった。
そこで1978年ころ、JA養蚕部会が主体で収穫祭として繭玉・餅花づくりを行い、1995年からは川路地区マネージメント推進協議会、現在は同地区農業振興会議が受け継ぎ、収穫祭として毎年開催している。
また、地元の子供たちにも知ってもらおうと、平成18年からは小学生と保護者にも声をかけ、一緒に飾り付けを行ってきたが、今年は新型コロナの影響で声かけはせず、家族とともに訪れた数名の子供たちが参加した。
繭玉は米粉を使い3cm程の繭や、地域特産の市田柿の形に整え、サカキの枝先に飾り付け、1cm角に切り分けた餅は葉を取った竹の枝先に飾り付け、秋の稲穂に見立てた。参加者らは繭玉を作りながら、「蚕はお蚕様と呼び、「お」と「様」をつけて呼ぶのは他にお殿様やお天道様とか大事なもの。蚕はそれくらい重要なものだった」「自分たちの寝床もお蚕様に占領されていた」などと昔を思い出し、懐かしんだ。
関島会長は「いつもなら子供たちも参加し賑やかだが、今年はさみしい。伝統を守っていくことは大変なこともあるが、大切なことなので地区の人たちと共に継承していきたい」と話した。
飾り付けの終了後には毎年、餅や米粉で作った繭玉を参加者みんなで味わっていたが、今年は各自家に持ち帰った。
繭玉・餅花飾りは、豊作を願い同事業所と川路小学校、川路保育園、天竜峡観光案内所に正月まで飾られる。

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