ラジコン草刈機で規模拡大

JAグリーン長野
操作性を確認する後藤社長
操作性を確認する後藤社長

JAグリーン長野管内で水稲や小麦などを大規模に栽培する、農事組合法人510(ゴトー)ファームは、「ラジコン草刈機」2台を導入した。畦草刈りの時間短縮・人員削減による規模拡大をめざしたもの。JA営農部による管内での導入は初で、先進的導入事例として、大規模の営農者や中山間地域の農業者からも熱視線が送られる。
同社に11月7日に機械が納品された。機械はデンマークTIMAN社の「RC-751」2台で、重量は約350kg、軽トラックで運搬ができる。刈刃は「ハンマーナイフ」で、刈幅は75cm、背丈を越え2メートル程の草も刈ることができる。単純操作ができ、遠隔操作機器(リモコン)操作者が転倒すると機械も自動で止まるなど、安全性も高い。42ヘクタールの水田を管理する同社では、真夏の炎天下に20日間かけて12人で行う刈払機による畔草刈りの作業に使用する目的で導入。作業に係る人員を減らして他の作業に回し、さらなる規模拡大を図るとともに、一人での作業を可能になることで新型コロナウイルス感染症対策として密を避けた作業性の確保、作業時間の短縮による社員の熱中症等対策もはかる狙い。購入の際に「経営継続補助金」を活用した。
同社の管理水田は、平坦地が主で、畔の傾斜角は浅く、畦幅も狭いことから、より傾斜のある畔での作業性を確認しようと16日、後藤貴史社長が信更町の丸山孝人さんの水田で、試験運転及び丸山さんや地域の農家に向けてデモンストレーションを行った。丸山さんによると、畔は傾斜角約40度、幅は3メートル程、直線の長さは約80メートル。通常の作業は刈払機で約1時間かけて1人で行っている場所。地元農家らが見守る中、後藤社長の操作で、時速約6km毎時で走行し、15分程で刈り終えた。ベルト走行で安定感がある走行で転倒せず、背の高い草も均一な高さに刈り取る機械に、「コスト面は厳しいものの、機械は非常に魅力的。短時間で安全に作業ができる」と話し、後藤社長に操作性など熱心に質問を寄せていた。後藤社長は、コスト面を踏まえ、中山間地等での共同購入を提案し、丸山さんや地元農家は、傾斜地の果樹園等での活用可能性にも触れていた。
後藤社長は「コロナ禍で農業経営も打撃を受けるなか、規模拡大に大変助かった」と話している。
試験運転で後藤社長は、簡単な操作性や作業後のほ場の状態に手応えをつかみ、女性社員による積極的な機械操作も視野に入れている。刈払機や歩行モアを活用しつつ、次年度は、2台を3回転させることを予定している。

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