「陸わさび」の産地化目指す 新たな振興品目として期待

JAあづみ
陸わさびの定植作業を行う体験農場の会員ら
陸わさびの定植作業を行う体験農場の会員ら

JAあづみは地元のわさび加工食品業者(株)マル井と連携し、ハウスを利用した「陸わさび(畑わさび)」の産地化を目指す取り組みを始めた。ハウスで栽培された「陸わさび」は同社により全量買い取られ、加工わさびの原料となる。
同社では2018年から安曇野市堀金の荒廃地を活用し「陸わさび」の露地・ハウス栽培を開始。実証実験を繰り返し事業として確立するまでになった。安曇野に普及拡大し、一大産地化させたいとの考えが、新たな振興品目の確立を目指す同JAのニーズと合致し、この取り組みが実現した。
「陸わさび(畑わさび)」のハウス栽培は、豊富な清流を利用し年中栽培される「水わさび」と異なり、夏の高温期をさけて10月に定植してから翌年の5月下旬から6月初旬に収獲する超促成栽培方式をとる。寒さに強いわさびの特性を生かし、冬場もハウス内は加温しないため余分な経費は掛からない。
主に茎や根茎(=通常イモと呼ばれる)は、お刺身用の小袋タイプやチューブタイプの製品などに加工される。「陸わさび(畑わさび)」も「水わさび」も花、茎、根茎と無駄なく食べられ、すべての部位がわさび特有の風味を味わえるのが特徴。
わさびの生育を左右する条件は温度(気温)と光(日照時間と強さ)で、この2つの条件でわさびの作柄が決まってしまうと言われていることから2つの条件を人工的に工夫し、生育に適した管理をすることが出来るハウス栽培を同JAでは主な栽培方法とし「収量と品質」の向上に繋げる。
今後、生産者の営農形態の変化に合わせ品目転換の選択肢の一つにすることや新たな振興品目として確立し生産意欲向上に繋げること、未活用ハウスの有効利用など利点をPRしていくとしている。
営農経済事業部農業企画課の丸山昌則課長は「既存のブランドとして、安曇野のわさびは広く認知されておりニーズが確保されている。振興品目として土耕によるわさびが新たな地域特産になる事に期待している」と話した。
また6日、産地化を目指す取り組みの一環として安曇野市堀金の烏川体験農場が所有するハウスに「陸わさび」を定植した。烏川体験農場会員や(株)マル井、安曇野市農業再生協議会、JA職員ら約30人が参加し、フォークで穴を掘り苗葉に土が被らないよう細心の注意を払い約1000本を定植した。
(株)マル井研究企画開発室の松田洋介室長は「安曇野の農産物の新たな振興品目として陸わさびを広め、産地化させたい。そのモデルケースとしてJAあづみと連携し事業を進めていきたい」と話した。

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