中村さん(左)と選別基準を確認する検査員
薬用作物で知られる特産「信州人蔘」の出荷が、JA佐久浅間信州人蔘センター(上田市上丸子)で本格化している。9月は「本根」と呼ばれる5・6年生、10月からは2年生の集荷が始まり、合わせて約5トンを見込んでいる。集荷した信州人蔘は等級ごとに選別した後、洗浄、蒸し、乾燥の工程を経て国内の生薬メーカーなどに出荷する。
信州人蔘は、高麗ニンジンや朝鮮ニンジン、オタネニンジンなどとも呼ばれる薬用作物。「人蔘小屋」と呼ばれる手作りの小屋の下、遮光した環境で6年の栽培期間を経て収穫する。現在、佐久市や東御市、立科町、上田市の17人の生産者で部会を作り、研修会などを通じて栽培技術を共有するなど産地を支えている。
祖父、父と3代にわたって信州人蔘を栽培する東御市御牧原の中村正さん(39)は、9月14日から出荷を開始。「本根」と呼ばれる5、6年生のうち、6年生を約1.2トン出荷する予定だ。中村さんは「信州人蔘の認知度を高め、生薬メーカーなど国内産の需要に応えられるように産地を盛り上げたい」と意気込む。
同センターの伊藤泰担当は「生産者の高齢化など克服すべき課題は多いが、部会と協力して産地の活性化を図りたい」と話している。