「白馬八方黒菱」今年も

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水陸両用の車いすに乗り手植えをする参加者

長野県白馬村の八方尾根観光協会は、村の新しい特産品開発を目指し、地元産の酒造好適米を原料とする「日本酒造りプロジェクト」の3年目を始動させた。観光業や農業を中心に地域一丸となってブランド化に取り組み、成果が表れてきた。今年の皮切りとなる田植えイベントが5月中旬に行われ、国内外からの参加者でにぎわった。
プロジェクトは、村を訪れるオーストラリアや東南アジアからの外国人観光客に、日本酒の人気が高いことに着目。2017年からスタートした。原料には、県が開発した酒造好適米の新品種「信交酒545号(山恵錦)」を使用。JA大北が協力し、苗はJA北部育苗センターで育てる。全て村内で栽培し、田植えや稲刈り、酒の完成時などにイベントで盛り上げるのが特徴だ。
誕生した日本酒「白馬八方黒菱」は、村内酒販店での販売から、現在は村内のコンビニエンスストアやスーパーマーケットなどにも並び、徐々に販路が拡大している。今年は昨年とほぼ同じ約7000本(1本720ミリリットル)の製造を予定する。醸造は引き続き大町市の薄井商店が請け負う。
田植えは、同村野平地区の棚田で開いた。国内外から公募した参加者や地元ボランティア、地元白馬高校の生徒、行政関係者ら約120人が参加。今回は、誰もが楽しめるユニバーサルツーリズムとして、県内の特別支援学校や団体などから車いすを必要とする障害者も参加し、水陸両用の車いすに乗りって地元高校生のサポートを受けながら、田植えを体験した。
開会式で、プロジェクトを主催する同協会の丸山和博会長は「美しい景色を楽しみながら田植えをしてほしい。田植えからお酒が完成するまでの流れをいい思い出にしてほしい」とあいさつした。
家族4人で訪れた東京都の森下実郎さん(39)は「今年初めて参加した。手植えでの田植えは初めてだったが、子どもたちにとって自然に触れ合えるいい機会となった」と話していた。
今回植えた稲は秋に収穫。新酒は来年1月に完成する予定だ。同協会は「観光客をはじめとした多くの人に、この酒の魅力が伝わればうれしい。プロジェクトを通して実際に村を訪れ、酒造りに関わり、酒に愛着を持ってもらえるようにしたい」と意気込む。

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