果樹凍霜害防ぐ

「果樹凍霜害防ぐ」の画像
説明会でモミガライトの燃焼を確かめる生産者ら(長野県塩尻市で)

長野県のJA塩尻市は、もみがらを原料にした固形燃料「モミガライト」を、果樹園の凍霜害防止用の燃焼資材として生産者に普及している。JAの試験で、これまで使ってきたものに比べて燃焼時間が約1時間長くなり、広範囲に園地の気温を上げられることを確認できた。販売業者と共同で、専用の燃焼器も開発し、普及を進めている。
モミガライトは、もみがらをすりつぶして棒状に圧縮、成形した固形燃料。保存しやすく、まきのように燃やして使うことができる。JAは、生産資材の販売などを手掛ける松本市の「ハーロム アルマ」が製造・販売しているものを使う。同社の岡賢昭代表は「果樹園の凍霜害防止への活用は全国でも初めてではないか」としている。
JAでは、2018年3月中旬、19年1月中旬、同年2月下旬の3回、果樹園地で燃焼試験を行った。10アール当たり40カ所に設置し、これまで使ってきた海外製の暖炉用燃焼資材と効果を比較した。
モミガライトは、着火後は炎を上げて燃焼する。2時間後には、おき火の状態となり、約4時間30分後に鎮火する。燃焼後は灰となる。従来の燃焼資材と比較すると、燃焼時間や範囲の面で優れており、被害防止効果が高いことが分かった。
そこでJAは同社と共同で、専用の燃焼器を開発した。縦横15センチ、高さ40センチの鉄製で、折り畳みできて持ち運びしやすく、下部に空気穴があり、燃焼性が良いのが特徴。燃焼器には、直径5.5センチのモミガライト5本を入れる。着火剤には、10センチほどの長さにして半日ほど灯油に浸したモミガライトを用い、燃焼器の上から点火して使う。
価格は燃焼器が1台4000円、モミガライトは18本入り1260円。JAは19年度、燃焼器の費用の半額を助成して、導入を後押しする。
JA果実常任委員会は3月上旬、塩尻市で、果樹生産者向けにモミガライトの説明会を開き、21人が参加。参加者からは「従来のものより使いやすく、安心できる」と評価する声が上がった。
同JA以外の生産者向けにはハーロム アルマが扱う。問い合わせは同社の岡代表、(電)070(2839)4982。

MENU