銘柄化で地域盛り上げ

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輸出したリンゴの園地で、グループのちらしを持つ会長の濱嶋さん

長野県のJA大北管内で有数のリンゴ産地の松川村。若手リンゴ農家のグループ「あっぷるぼういず」は、村産リンゴのブランド化と認知度向上に取り組む。大手スーパーと取引し、輸出にも挑戦。村のリンゴ生産の一躍を担うグループとして存在感を示している。産地を盛り上げて、地域活性化を目指す。
グループは村の20~40代の農家10人で構成。今年で立ち上げて5年目となる。主な活動として、県内外のイベントでの対面販売や生産技術向上を図るための研修会などを行っている。
会長の濱嶋奨さん(41)は三重県出身で、以前は愛知県の宿泊施設で働いていた新規就農者だ。グループ設立のきっかけは、販路開拓に向けて村内農家が集まり、県外の販売イベントに参加したこと。「そこでお客さんがどんなリンゴを欲しているのかが分かった。その半面、松川村産の認知度は、まだまだ低いと感じた」と言う。
そこから「あっぷるぼういず」の活動が始まった。グループとして販売に取り組むことで、販路が広がっているという。「現在、大手スーパーと契約を結び、リンゴを陸便で直接送り、販売している」と説明する。スーパーとは年間10トンの契約で、早生から晩生種までさまざまな品種を販売する。
2018年度には、初めてシンガポールへリンゴを輸出。「シナノスイート」2トンを出荷した。仲介業者を通したことで、輸出用の荷造りや手続きの手間は掛からず、販売までスムーズに進み、「通常のJAなどへの出荷とあまり変わらない」と感じた。比較的小さなマーケットの国を狙う方針で、「一つの村の1団体が出荷するくらいの量で(供給量が)ちょうどいい」と説明する。シンガポールでは比較的高値が付き、手応えを得た。
地域活性化に向けたモデル的な取り組みとして県の補助を受けられる「地域発元気づくり支援金活用事業」にも認められた。18年12月に大町市で開かれた、17年度の同事業の優良事例表彰式では、北アルプス地域振興局賞を受賞した。
濱嶋さんは「これからは生産者自ら地域活性化に向けて取り組むことが重要だ。生産技術、販売力をさらに高め、マーケットインのリンゴ生産へグループとして活動していきたい」と力を込める。

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