「純味豚」30周年、地域に愛される味

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純味豚の生産に決意を新たにする橋場会長

JAみなみ信州管内の養豚生産者が育て、地元食品スーパーチェーン、キラヤが独自ブランド豚肉として販売する「純味豚(じゅんみとん)」が、9月に発売30周年を迎えた。赤身と脂肪のバランスが良く、豚肉本来のこくと甘味が特徴。長野県の銘柄豚の先駆けで、消費者の支持を得て地域に定着している。
契約農場5戸でつくる「純味豚生産組合」では、全農場で生産体系を統一。餌には脂のうま味を引き出す原料を配合した専用飼料を給与するなど、時代の変化に適応しながら、こだわりを30年間守ってきた。契約農場数は2007年の6戸から現在5戸に減ったが、肉豚の年間出荷頭数は10年前とほぼ同じ約2500頭。契約農場の廃業や規模縮小もあったが、新たに加わった農場もあり生産頭数を維持している。
同生産組合の会長で、松川町で養豚経営を行う橋場孝光さん(45)は、年間約350頭の肉豚を出荷している。「発売30周年を迎え感慨深い。清らかな水と、良質な穀物を主体とした餌を与えじっくり育てている。地元にすっかり定着し、消費者に喜んで食べてもらい、やりがいを感じている」と話す。生産者の高齢化など厳しい状況は続くが、「純味豚生産を継続していけるよう、関係機関の協力を得ながら生産組合一丸となって取り組んでいきたい」と意気込む。
契約農場で生産された純味豚は、県内の食肉加工施設で処理された後、キラヤ店頭に並ぶ。契約農場では生産履歴の記帳を行い、食肉加工施設では生産者ロットごとに加工管理を実施するなど、安全・安心の取り組みを徹底している。
飯田下伊那地域で9店舗を展開するキラヤでは、年間約86トンの純味豚を販売する。同社の赤羽宏文社長は「低価格な輸入豚肉もある中、長年地域から愛される純味豚は、キラヤに必要不可欠な商品となっている。お客さまから味と品質の評価が高く、幅広い世代から支持を得ている」と強調。今後も純味豚の販売に力を入れていく考えだ。18日から4日間、店頭で30周年記念セールを予定している。

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