リンゴ黒星病 まん延防げ

「リンゴ黒星病 まん延防げ」の画像
阿部知事(左)へ要請書を手渡す雨宮会長

JA長野中央会とJA全農長野、長野県果樹研究会は4日、長野市の県庁で阿部守一知事に、リンゴ黒星病DMI剤耐性菌のまん延防止対策に関する要請をした。県内全てのリンゴ園での緊急点検と防除対策の徹底を求め、健全で安価な県産苗木の増産を支援するよう訴えた。
耐性菌は、青森県の業者から苗木を購入した松本地域の圃場(ほじょう)で県内で初めて確認された。感染すると葉や実などに黒い病斑が生じ、出荷できなくなる。県内での同病害への一般的な対策のDMI剤に耐性があり、拡散やまん延が心配される。
要請では、耐性菌がまん延や定着すると「県のリンゴ産業が根幹から揺るがされる」と指摘。現在行っている園地の緊急点検と、抜根や焼却処分などの防除対策を県内の全ての園地で実行するよう要求した。また、発生の要因とみられる苗木が県外産だったため、県内産の健全で安価な苗木の増産を支援するよう求めた。
特に、県内産苗木の供給不足が課題となっている、高密植わい化栽培向けのフェザー苗木を増産するため、M9台木やウイルスフリーの穂木の供給体制の構築を求め、県内の種苗業者への支援も訴えた。有効な農薬の開発と登録について国へ働き掛けることも併せて要請した。
中央会の雨宮勇会長は「JA系統外も含め全ての園地を確認し、水際できちんと(耐性菌の侵入を)止めなくてはならない」と強調した。果樹研究会の松本和実副会長は「苗木が足りないから(県外から導入して)発生した。現場ごとに危機感に温度差があるので対策の徹底をお願いしたい」と訴えた。生産者代表として全農長野果実専門委員会の宮坂直隆委員長らも要請に参加した。
阿部知事は「農政部と各地域振興局で対策チームを早急につくり、初動でしっかり防ぎたい」と話した。

MENU