今年から出荷が始まったモデル産地ほ場で、ほ場主の中村さんから説明を受ける出席者
長野県園芸畜産課は、千曲市のJAちくま本所でアスパラガス産地化プロジェクトモデル産地会議を開いた。1年養成した苗を定植して早期産地化を目指す取り組みで、2014年から定植がスタート。これまで県内8JAが8ヘクタールに導入し、定植2年目で10アール当たり2トン近くの収量を得る農家がいることが報告された。
会議には県の農業機関や県内JAなどの関係者36人が出席。各産地での1年養成苗の導入状況と課題、苗の供給対策や今後の方針を確認した他、同市内のモデル農家の視察を行った。
県によると、県内のアスパラガス出荷量は北海道、佐賀県に次ぐ全国3位だが近年は減少傾向。そこで県は13年から、需要の高い4、5月に出荷できる新産地を育成するプロジェクトを開始。定植した翌年から出荷できる1年養成苗の導入を推進し、未収期間の短縮と高単価の出荷により農家の収益向上につなげる考えだ。
苗の定植は14年からJA信州うえだ、塩尻市、洗馬、ちくま、グリーン長野、北信州みゆき管内で始まり、15年にはJA須高、中野市の管内でもスタート。これまで農家67戸が8.4ヘクタールで約16万本を導入した。16年はさらに4ヘクタール(8万本)の導入が予定されている。
視察会場となった千曲市内川の中村義彦さんの畑は約8.5アールのハウスによる半促成栽培。14年に定植して今春に初出荷を迎えた。今年度は目標の2倍に及ぶ1.9トンの収量があったという。
担当するJAちくまの野沢仁美営農技術員は「ニーズに応えて高単価な4、5月出荷を拡大したい。施設化を進め、半促成長期どりで10アール収アップに努める」と話した。