人口減少社会を議論

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演劇「まけるな わが子よ」の一場面

JA長野厚生連などが主催する第55回農村医学夏季大学講座が7月24、25の両日、佐久市のJA長野厚生連佐久総合病院で開かれた。2日間で、延べ781人が聴講した。
今回のテーマは「人口減少社会を問いなおす~コミュニティーの中心としての保健・医療・福祉」。
中山間地の生活基盤を無視した効率主義や、コンパクトシティーを曲解した考え方、底の浅い議論が横行する現状において、人口減少社会への対応について、講演やシンポジウムなどを通じ、2日間にわたってさまざまな観点から学び、論議した。
24日には「『人口減少社会』における地域コミュニティーと医療・福祉」と題して、京都大学大学院経済学研究科の岡田知弘教授が講演した。
岡田氏は「少子化は自然法則ではなく、グローバル国家型構造改革による青年層の不安定就業化、低所得化によるもの。それが顕著なのが、東京など大都市圏だ」と述べ、大企業工場の海外移転や農林水産物などの輸入、規制緩和などを行った構造改革政策を批判した。
また、岡田氏は「地域が豊かになるということは住民一人一人の生活が維持され、向上することであり、地域経済の自立性向上が財政力強化につながる」と誇る一方、「こうした地域の取り組みを環太平洋連携協定(TPP)は破壊する」と指摘した。
この日は若月賞授賞式と受賞記念講演、演劇公開も行った。
受賞者の一人、中皮腫・アスベスト疾患・患者と家族の会の古川和子会長は、夫の幸雄氏がアスベストによる肺がんを発症後、夫の闘病と労災認定に取り組んだ日々について語った。
もう一人の受賞者、元南佐久郡八千穂村衛生指導員の高見沢佳秀氏は、旧八千穂村(佐久穂町)での保健活動に際し、地域の健康問題を題材に、自らシナリオを作って演劇を上演。農村演劇を通じ健康づくりに貢献してきた。
高見沢氏は講演の中で「若月俊一先生にならって、健康演劇をやりたいと思った」と話し、衛生指導員の仲間や病院関係者との情報交換の中から演劇テーマを決め、上演を行ってきた経緯を語った。
講演後、2006年に初公開した演劇「まけるな わが子よ」を上演した。

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