牛にわらを与える樋口さん
長野県北部地震の発生から12日で4年。甚大な被害を受けた栄村や新潟県津南町で、住民らは農業と地域の振興を図り積極的に活動している。
栄村の樋口大樹さん(27)は、畜産を営む実家で4年前に就農して和牛「北信州美雪和牛」を生産している。祖父の代から続く畜産業を両親、妻と家族4人で営み、約300頭を飼養して年間約160頭を出荷する。餌は自家配合飼料を与えるなど、質の高い牛肉づくりに取り組んでいる。
学生の頃から家業を継ぐことを考えていた樋口さんは大学を卒業後、木曽町にあるJA全農長野三岳牧場で肥育や繁殖について学んだ。1年間の研修を経て実家の畜産業に就いて以来、「見習わなければならないことがまだまだある。経験が大事」と、牛の世話に没頭する毎日だ。
4年前、父の和久さん(57)が代表を務める「農事組合法人美雪ファーム樋口」が発足。ブランド牛「北信州美雪和牛」を生産する農場は2戸で、同法人がそのほとんどを生産する。出荷する約7割が肉質の格付けが最上位のA5等級の評価を受ける高品質牛として定着。主に関東地方を中心に出荷し、地元ではA・コープで通年販売されている。
「地域の人など多くの人に食べてもらいたい」と話す樋口さん。毎日牛をよく観察することで、わずかな体調の変化を見逃さない。餌の量を調整するなどして体調管理を徹底し、高品質な牛の出荷に努めている。