アンズ振興に向け、6次産業化と農畜産物の高付加価値化研究を学ぶ出席者
千曲市農林課とJAちくまあんず部会、同JA森店運営委員会は、同市森のあんずの里観光会館で森地区農業振興講演会を開いた。同市生萱出身で信州大学工学部特任教授の松澤恒友氏が、6次産業化と長野県特産農畜産物の高付加価値化研究について講演した。森地区の農業者や関係者らおよそ60人が出席した。
アンズは、千曲市の市花、市木で、同地区は全国有数の産地。花見や実の収穫にも全国から多くの観光客が訪れる。また、昔から生産、加工、販売が一体となった"アンズ産業"を形成し、地域の文化としても根付いている。しかし、生産者の高齢化や後継者不足などにより、栽培面積の減少が進んでいる。このような中、「あんずの里」の活性化、アンズ栽培の維持に向け、講演会を企画した。
食品製造分野での技術革新を担う人材創出、地域経済の活性化を目指す「ながのブランド郷土食」人材養成プログラムを手掛ける松澤氏は、同プログラムの農産加工実習から商品化された事例を紹介。また、事業化モデルでは、「機械で守る信州伝統の味『市田柿』」として、乾燥の迅速化・品質の安定化をさせ、ブランドの基礎強化で生産量、販売額の増大につなげた事例を紹介した。さらに、「エノキタケの機能性利用による高付加価値商品の開発」として、えのき氷の研究背景やヒットした要因を説明。出席者はメモを取りながら、真剣に耳を傾けていた。
同JAあんず部会の久保勝義部会長は「アンズ振興には、生食アンズと6次産業化が両輪となり、その二つを大事にしていきたい。6次産業化は創造力、実践力、宣伝力が必要で、それをやり抜く忍耐力も大切になる。事業モデルの事例は、森地区のアンズ産業でも参考になることが多い。また、どちらも高品質化、高付加価値化を実現し、ブランドを構築していきたい」と話した。