リンゴ栽培振興へ、台木供給に手応え

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台木「M9」を取り木する部会員ら

長野県のJAちくまりんご部会は、リンゴの新わい化栽培と高密植栽培に使う苗木の供給体制の確立にめどを立てた。15アールの畑で台木の母株を養成し、そこから取り木した台木を種苗業者に供給して品種を接いでもらい、部会員の希望する苗木を提供する。今年は約1800本の台木を供給。次年度以降も供給を続け、園地の若返りと産地の維持につなげる考えだ。
JAはリンゴの生産振興策として、省力で早期多収が見込める新わい化栽培と高密植わい化栽培を推進している。この栽培には台木「M9」を自根とする苗木が必要だが、その供給が十分でないため、2008年度から苗木の基になる台木の育成に乗り出した。現在は苗木養成圃場(ほじょう)で母株を横伏せ法で養成し、取り木した台木を苗木業者に供給。優良品種を接ぎ木してもらい、部会員に希望品種の苗木を提供している。
10日には同部会坂城上山田支部の有志15人が、千曲市力石の圃場で台木を取り木した。指導した元JA長野県営農センター技術審議役の臼田彰さん(65)は「当初は試行錯誤があったが、現在はスムーズに作業が進められている。台木を苗木業者に供給することで、より多くの苗木が準備できる」と話した。
また、同部会坂城上山田支部長の渡島港一さん(66)は「生産者の高齢化による労力不足が課題の中、産地の元気がでるようさまざまな方法を見極めてリンゴ栽培を振興したい」と話した。
JAは、果樹経営支援対策事業や農業振興助成金、農業開発積立金を利用しながらリンゴ栽培を振興している。宮原賢太営農技術員は「苗木作りには時間が掛かるが、これを起爆剤にして園地の若返りと産地の維持に力を注ぎたい」と意欲を燃やす。

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