畦畔、芝で覆え!中山間地の労力減へ

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水野さん所有の水田で、畦畔に芝の種をまく関係者

JA北信州みゆき管内で、水田の畦畔(けいはん)を芝で被覆して除草作業を省く技術の導入が始まった。県機関の試験では、播種(はしゅ)後1、2年で畦畔を覆い、雑草の抑制と作業性の向上を確認した。中山間地にある管内では、水田の多くが畦畔の傾斜がきつい上に面積が広く、維持管理が課題。畦畔を芝で覆って他の雑草の生育を抑え、草刈りの省力につなげる狙いだ。
JA管内の飯山市太田地区で水稲を栽培する水野晴光さんは今年度、同市で初めて本格的に導入した。7月中旬にはJAと県北信農業改良普及センター、飯山市役所、芝の種を生産販売する雪印種苗の担当者が、芝の種を畦畔一面に、じかまきした。
植栽には初期投資が必要だが、水野さんは「中山間地農業を維持するには草刈りなどの労力軽減が重要。芝を活用した畦畔管理を地域に広めたい」と話す。
同センターの南澤基信さんは2012年からJA管内の栄村で試験を実施。12年8月に「ワラ芝工法」により寒冷地で生息する芝草のクリーピングベントグラスを播種し、翌13年4~12月に月1回、草丈や被覆の度合、畦畔の管理に要する労力などを調査した。その結果、芝が豪雪地にも適応することや、草丈が低いため管理作業時に滑らず歩行できることが分かった。
芝の養成に必要な作業は、出芽から畦畔を被覆するまでに1回の施肥と、多年性雑草が発生した場合の除草以外はほとんどない。試算によると、米の売上額の25%程度の労働コストを節減でき、また、草刈りから解放された労力を他の作業などに振り分けられる時間が10アール当たり50時間に上った。
身体的な負担の軽減に加え、刈り払い機による事故を防ぐ利点もある。さらに、担い手への農地の集積や畦畔崩落の防止も見込める。芝に被覆された畦畔は景観が良く、観光資源としての活用にもつながる可能性がある。

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