協力してハウスを撤去する両JAの職員ら(12日、長野県朝日村で)
宮城県のJAいしのまきは12日、2月の大雪により農業被害が発生したJA松本ハイランド管内に役職員を派遣し、倒壊した農業用ハウスの撤去作業を支援した。両JAは東日本大震災を機に復興支援を通じて交流を深め、昨年12月に災害時の相互支援を含む姉妹JA協定を締結。今回は、いしのまきの石川壽一組合長が大雪被害への支援を申し入れた。作業は13日も行う予定だ。
同日はいしのまきの新田静志常務ら役職員15人が3班に分かれ、松本ハイランド職員らと協力して倒壊したハウスを撤去した。朝日地区では両JAの職員13人がハウス3棟を解体して撤去。いしのまき自動車燃料課の鈴木貞義課長は「被害の大きさと、残っている雪の多さに驚いている。少しでも力になりたい」と、懸命に作業していた。
今回の支援は、大雪被害を知ったいしのまきの石川組合長ら幹部が2月28日に松本ハイランドを見舞い訪問した際、被害現場を目の当たりにして申し出て実現した。災害支援は協定締結を経て初めて実施。松本ハイランドの伊藤茂組合長は「人的支援は大変ありがたい。有事に協力し合える姉妹JAの強い絆を実感した。今後も活発に交流していきたい」と感謝の意を表した。
両JAの交流は、松本ハイランド女性部が2012年7月、いしのまき管内を研修で訪問したのを機に始まった。同年以降、東日本大震災の復興支援やJAのイベントへの参加などの形で両JA関係者が互いに訪問。女性部が互いのJAの特産品を共同購入するなど、地場産品の販売を含めた交流事業の検討も進めている。また、不足の事態に対する協力体制なども含めて交流を一層強化する方針だ。
松本ハイランド管内では2月の大雪で農業用ハウスを中心に600棟以上が倒壊。被害額は推定で2億6000万円を超え、例年は2月下旬から始まる春野菜の定植や水稲育苗に遅れが出ている状況にある。