知っているようで知らない 3つの特徴
その1
手をかけた分だけカオも良くなる
市田柿
おいしい市田柿を作るための工程は干すだけではありません。吊るした柿は、まず硫黄燻蒸(いおうくんじょう)といって、密閉した室内で硫黄の煙にくぐらせて殺菌効果を高め、見た目も美しい市田柿のベースを作ります。
それから干すこと約1カ月。乾燥しすぎると固くなり、湿気が多いとカビが発生しやすくなるため、温度や湿度を調整する大切な期間を過ごし、約35%の重量になるまで乾燥させます。手をかけた分だけカオ(見た目)も良くなって、おいしさで応えてくれます。
その2 「粉出し」できめ細やかな肌に
およそ1カ月干した柿は“のれん”の状態から1個ずつ外され、今度は市田柿の特徴でもある白い粉をまとう「粉出し」という仕上げの工程に入ります。
果実の中の水分を外に出すために回転させながら、果肉を揉んでいきます。こうすると中心部の水分が均等に外に出て、シワのないふっくらとした干し柿になると同時に、ブドウ糖の白い粉がきめ細やかなものになるのです。
その3
安心・安全で、
確かな品質を届けるため、
消えつつある「柿すだれ」
平成18年(2006年)に市田柿が長野県第一号の地域ブランドに認定されたことで転機が訪れました。この年を境に、商品として販売する干し柿は、外干しが禁止となったのです。それはカビの発生防止など、品質保持を徹底するために必要な制限でした。したがって、「市田柿」の名が世に知れ渡るとともに軒先の「柿すだれ」も姿を消していくこととなったのです。
出典:JA長野県ウェブマガジン「長野県のおいしい食べ方」