果汁用トマト定植盛ん、作付け拡大呼び掛け

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定植作業をする(株)あづみアグリサービス

長野県は、ジュース用トマト全国生産量の約30%を占める主力産地だ。冷涼な気候に恵まれ、日照時間が長いことから、高品質なジュース用トマトの生産に適している。
松本市を中心とした中信地区の各JAでは大型連休中、植え付け作業が最盛期を迎えた。支柱を立て、茎を上に伸ばすように栽培する「生食用トマト」とは違い、「ジュース用トマト」は露地栽培で夏の太陽をいっぱいに浴びるよう、地面にはうように栽培する。
国産ジュース用トマトの主な需要は、夏に取れたてのトマトをそのまま缶に詰める「ストレートジュース」で、輸入のトマトピューレなどで製造する「濃縮還元トマトジュース」とは異なる風味とおいしさが人気となっている。メーカーなど実需者から長野県産ジュース用トマトに対する期待は大きい。
しかし、かつては170ヘクタールと全国1位であった県内の作付面積は、2016年には144ヘクタールまで減少した。現在も生産者戸数は全国1位でありながら、作付面積は茨城県に次ぐ2位となっている。一方、競走の激しい園芸品目の中で増産を求められている数少ない品目でもある。栽培に高度な技術や機械・投資を必要としないため、新規就農者も取り組みやすい。買い取り単価が保証され、出荷経費が掛からないことから、安定した収入が見込める。
JA全農長野ジュース用トマト部会長の唐澤正人さんは「消費者から求められている、国産原料を使用したトマトジュースを変わらず消費者に届けられるよう、作付面積を確保して、高収量に向けて頑張りたい」と意気込む。JA全農長野野菜花き課の荻原忠喜係長は「今後も引き続き安定した需要が見込まれる品目。農業初心者でも、比較的容易に栽培ができるので、これから就農を考えている方にはぴったり」と話す。
他の野菜を作っている生産者に向けても、(1)収入安定のために既存の栽培品目に小面積プラスする(2)土づくりや連作障害回避の観点から既存の栽培品目にプラスする(3)稲刈りまでの収入源として栽培する――といった提案をして、「まずは小さい面積から導入してみてはいかが」と、作付面積の拡大を呼び掛けている。

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