熟練農家の技術共有、高品質・安定生産へ

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NTT東日本の担当者(右)から説明を受けるJA職員

長野県のJA中野市管内のブドウ農家2戸が今春、栽培ハウス内の環境を測定し、インターネットを通じて情報を確認、蓄積できる「農業IoT」を導入した。NTT東日本が手掛けるシステムで、長野県内では初の導入。温度や土壌水分などのデータを栽培管理に役立てるとともに、技術の共有や向上に活用。高品質なブドウの安定生産につなげる狙いだ。
IoTは「モノとインターネットをつなぐこと」を意味する英語の略。パソコンやデジタル情報家電などに使われる技術で、近年、農業分野への応用が進んでいる。JAは、この農業IoTシステムを開発したNTT東日本と協力し、管内2戸のブドウ生産者のハウス内にカメラや温湿度計、土壌水分計などを3月末に設置した。「シャインマスカット」「ナガノパープル」を栽培するハウスで使う。
これらの機器はインターネットに接続されていて、映像やデータは生産者とJAが確認できる。JAは、データを蓄積し、分析していくことで、高品質なブドウが作られる温湿度や土壌水分などの条件を具体的な数値や映像で残すことができる。生産者の勘や経験に基づく栽培から脱却し、具体的なデータに基づく栽培管理ができるようになるとみている。
生産者にとってはスマートフォンなどから、いつでもどこでもハウス内の環境が確認できることもメリット。システムに連動した機能として、ハウスの温度が一定以上になると通知が来たり、映像でハウスの様子を見たりできる。昨年同時期の温湿度や成長具合の画像を見て、比較し参考にできる。
防犯、獣害対策への活用も可能。カメラが動きを感知した場合に生産者らに通知し、不審者や害獣に向けて、フラッシュライトなどで威嚇することもできる。
JA担当者は「熟練栽培者が持つ感覚をデータ化し、共有できるのが魅力。普及が進めば、管内全体のブドウ栽培技術の向上や、新規就農者の増加が見込める」と期待を込める。


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ハウス内の送信機。この機器からインター
ネットを通じて、JAと生産者に情報が送られる

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