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産地を守るために 上嶋広明さんが支援事業を活用し就農に向け一歩前進 | 県内JAの話題 | JA長野県グループ「農」のポータルサイト いいJAん!信州

作成者: いいJAん!信州|May 8, 2026 2:45:00 AM

JAあづみと松本市が主体となり発足した「梓川果樹産地新規就農者支援事業」を活用し将来、果樹栽培で農業経営を目指す上嶋広明さん(63)は、1年目の研修を終え、2年目へと歩みを進めた。後継者不足による果樹の耕作面積の減少が懸念される中、松本市や松本農業農村支援センター、JAあづみが連携し梓川地域の果樹生産者の協力を経て当事業を展開。産地維持に向けた取り組みが進められている。
当JA管内はリンゴを中心に約400haの園地が広がる果樹産地で「安曇野ブランド」は全国でも認知度が高い。標高は600mから700mで、昼夜の寒暖差や日照時間に恵まれるなど、果樹栽培に適した地域性を持つ。
しかし当JAあづみ果樹園芸専門委員会で実施した「次世代総点検」の結果から将来の課題が浮き彫りになった。梓川地域のリンゴ栽培面積のうち、65歳以上が約6割を栽培。65歳以上の8割以上が後継者の目処がなく、10年後には規模の縮小・離農が増え12ha以上が耕作放棄地になる恐れがある。
こうした状況を踏まえ同事業では研修制度を通じた、担い手育成を進め産地の維持に力を入れる。同事業は松本市梓川地域で果樹栽培を志す、50歳から65歳以下の人が対象で機械取得の助成や家賃補助、研修用農地の確保にあわせ、2年間にわたり経験豊富な受入農家とともに、実践的な栽培技術や経営ノウハウの習得を図る。農業用機械の初期費用が障壁となる中、機械取得助成に合わせ、スピードスプレーヤーや高所作業機などは、離農者から譲り受けるなど支援は手厚い。
上嶋さんは非農家の元サラリーマンで40年間勤めていた会社を3年前に退職。関心のあった農業の道に進むことを決意した。現在は、就農20年目の佐原大介さん(40)のサポートを受けながら約4haでサンつがるやサンふじ、シナノスイートなど7品種を仲間と2人で栽培している。
上嶋さんは1年間の研修を経て、「佐原さんのもとで一連の作業を理解することが出来た。課題はあるが自分の時間を作りつつ楽しみながら過ごせている」と笑顔をみせた。上嶋さんのサポートをする佐原さんは「現在の70代が今後10年で離農することを見据えると、将来的な担い手不足が懸念される。一方で上嶋さんは意欲的で行動力もある。先入観なく取り組む姿勢が頼もしい」と期待を寄せた。
今後同事業は26年8月から10月にかけて研修生の募集をするほか、6月中旬には松本市梓川りんご就農相談会を実施。参加費は無料で支援制度の紹介をするなど就農に向けた後押しも引き続き行っていく。
営農経済事業部担い手支援室の榑沼友和課長代理は「研修生が安心して独立就農を目指せるように、研修生に寄り添った支援を行っていきたい。まずは就農相談会に気軽に立ち寄ってほしい」と話した。