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摘果リンゴを銘菓に活用 JAと地元企業が連携 | 県内JAの話題 | JA長野県グループ「農」のポータルサイト いいJAん!信州

作成者: いいJAん!信州|Aug 12, 2025 1:00:00 AM

JAみなみ信州りんご部会と同JAは、高森町の(株)マツザワと協力して栽培の過程で不要な果実として落とす「摘果リンゴ」を集荷している。同部の部会員に集荷を呼びかけ、集まった摘果リンゴを同社が買い取り菓子などに活用し販売する。JAと企業が連携することで本来は廃棄する果実が人気の菓子に活用され、農家の夏の収入にもつながっている。摘果リンゴの集荷は10年以上前から行っており、今年は新たな商品にも活用するため規格を増やし、品種が混在していても受入れるなど、省力化を図りながら農家の手取り向上につながる取り組みを行っている。
摘果りんごは7月23日~9月24日まで受け入れ、39軒の農家から50トンの集荷を予定している。比較的扱いやすく味も良い「ふじ」の56㎜~72㎜のサイズを従来の「中」から「小」、サンふじを含むその他の品種を中(56mm以上)と大(80mm以上)としている。
8月5日は、受入れ開始から摘果リンゴを積んだ軽トラックが列をつくった。佐々木純一さん(75・松川町)は「本来は捨ててしまう果実を受け入れていただき製品に活用してもらえるのはたいへんうれしい。多少手間はかかるが収入になりありがたい」と話し、65ケースを持ち込んだ。
(株)マツザワの森本康雄取締役は「土産(みやげ)は“土から産まれる”と書き、地域の皆さんが生産した大切な産物を分けていただき製造している。‟もったいない”との思いから地域の皆さんと協力し、捨てられる摘果リンゴの活用が実現できた。これからもさらに連帯感を深め、地域の活性化を一緒に実現していきたい」と話した。同社では今年農業法人を設立し、原料となるくだものの生産も始めた。サンふじは銘菓「りんご乙女」へ、大はスティックパイへ、飯田市内で収穫した摘果リンゴは市内で醸造するシードルに加え新たにお酢などに活用し、原料を使い分け付加価値を高めた商品開発を行っている。
同社の「りんご乙女」は国際優秀味覚コンテスト(iTQi、ベルギー)で2009年から17年連続で最高位3つ星を受賞している。定番の箱入りのほかプラスチックトレーなしの規格も開発するなど環境保全や食品ロス削減にも積極的に取り組んでいる。