JAみなみ信州管内では和菓子や桜茶、土産物などに使う八重桜「関山」の出荷が最盛期を迎えている。同JAの出荷する桜は色付きが良いと評価が高い。全国的にも産地は少なくこの季節に欠かせない商材として加工業者からの引き合いも強い。同JA管内ではおよそ60人の生産者が開花時期だけの短期集中で一房ずつ手作業で摘み取る。今年度は昨年を上回る約4トン(前年比約110%)の集荷を見込んでおり、収穫作業は5月上旬まで続く。
今年は開花時期が遅れ収穫作業も例年より5日ほど遅い19日頃から始まったものの、霜に当たらなかったため品質が良く順調に収穫作業が進んでいる。24日収穫作業をした梅田ゆみ子さん(61・飯田市)は4本の木で栽培を行っている。息子とふたりで1時間ほど作業に汗を流し、「桜はシーズン最初の収穫物。今年も農業作業が始まったと収穫の喜びを感じながら作業している」と話した。梅田さんのお宅では今年約30キロの収穫を予定している。
「関山」はピンク色が濃く花弁が落ちにくいボリュームのある品種で、一房に5輪ほどの花がつきそのうちの2輪が咲く頃合いを見極めて収穫する。同JAでは松川町の生田地区を中心に収穫が行われ、同町の同JA生田事業所で集荷作業を行っている。同地区での栽培は昭和50年代後半から始まり、7年前までは集荷した桜を同事業所内で塩漬け作業まで行っていた。現在は地元や県外の加工業者に出荷し、主には食用に塩漬け加工され春の和菓子や土産品などに使われる。
同JA営農部販売課の伊藤謙三主任は「今年は花の品質も良く、生産者の皆さんの丁寧な作業できれいな桜が出荷されている。季節を感じさせる商材として需要がしっかりとあるので、1輪でも多く出荷いただきたい」と話した。