長野県テンサイシストセンチュウ諏訪地域対策チームは3月28日、原村の原村中央公民館で重要病害虫「テンサイシストセンチュウ」の防除対策説明会を開いた。生産者や同チームの茅野市・富士見町・原村の担当者、諏訪農業農村支援センターの職員、JA職員ら34人が参加し、被害状況を確認した。対策として、輪作の導入を共有した。生産者とチームが一丸となり、地域全体で取組みを進め、産地を守り続けていく。
テンサイシストセンチュウは2017年9月、原村の一部のほ場で、日本で初めて確認された。ブロッコリー等のアブラナ属植物の地下部に寄生し、収量が著しく低下する。付着した作物を食べても、人への健康に影響はない。
この日は、同センター技術経営普及課の職員が説明。17年の確認以降、発生農家への研修、チラシの配布、指導機関職員の目合わせ等で、関係者の理解を進めてきた。発生したほ場は「植物防疫法」に基づき、作付けを中止して国が緊急防除を行い、検出限界以下になったことを確認。さらに、テンサイシストセンチュウが寄主とする作物の3回作付けまでは再発していないか確認する「防除効果確認調査」を実施。この「防除効果確認調査」は24年度で、約5割のほ場が終了している。
24年度は寄主作物を「2年1作」することにより、テンサイシストセンチュウを抑え込む防除体系を実証した。「スイートコーン」「アスパラガス」「白ネギ」を輪作の検討品目として提案した。
「スイートコーン」は、ブロッコリーで利用している育苗設備や定植機を用いて栽培。24年度は単価が良かったため、ブロッコリー並みの粗収益だった。ブロッコリーは夏場の高温等の影響で秀品率確保が難しくなっており、テンサイシストセンチュウの発生履歴があるほ場では防除費用も上乗せされることから、経営的に見てスイートコーンを導入するメリットはあるとした。
「アスパラガス」は、ブロッコリーに代わる収益性の高い品目として紹介した。畑を複数年休ませられ、初夏の高単価の時期に出荷が可能。転作となるため、中長期的な検討が必要だとした。
「白ネギ」は高温時期の需要が高く、高冷地の栽培に可能性があるとして紹介。作業は栽培にかかる労力1割・出荷調整作業9割なので、経営ポイントは効率化・人件費の削減だとした。
出席した営農部営農企画課では「今後は輪作体系の導入に対して、ブロッコリーなどのアブラナ属植物と同等の見合額が得られる輪作品目の選定が重要」と話した。
諏訪農業農村支援センター技術経営普及課の上久保和芳課長は「テンサイシストセンチュウは、輪作体系の導入など対策を講じれば抑えられる見込みが立ってきている。生産者には、これまでに蓄えてきた知恵や工夫とともに、今日の研修を参考にしてもらいたい。諏訪地域で持続的に野菜の作付けができるよう、協力しながら支援を続けていく」と話した。