リンゴ農家の今井貫至さんは、今年で就農4年目を迎えた。松本市梓川地域で父から継いだ200aの圃場で6品種を栽培している。自身が作るリンゴを「味が一番の自慢」と笑顔で話す。24年10月には、県主催の第57回うまいくだものコンクール「シナノスイート」部門で、農林水産省農産局長賞を受賞した。
審査では、色沢や玉揃い、形状、軽欠点の有無の評価のほか、光センサーによる糖度測定も行われた。今井さんは、出展にあたりこだわったのは「色」。着色資材を使わず、自然に赤く色付いたものを選果した。受賞したときは、「やるからには受賞したいという気持ちだったが、まさか受賞すると思わなかった」と驚きとうれしさの気持ちだったという。
今井さんは、元々会社員で佐久市に在住していた。就農するきっかけは、今井さんの父が体調を崩したことだった。自営していた兄と話し、「自分が継ぐ」と決め、会社を退職後、Uターンし就農した。当時の心境について、「不安はなかった」と話す。それは、祖父がリンゴ農家をはじめ、ゼロからイチを作ることの大変さを知り、守りたいという思いが強かったからだという。
現在は、母と兄の妻の3人で日々作業に励んでいる。なかでも、摘果作業は根気のいる作業で、果てしない量に辛さを感じるが、個人で取引しているお客さんに美味しいと喜ばれることがやりがいになっている。
今後は、リンゴの知名度や収入を含め、「リンゴ農家をやっていて良かったと思える産地安曇野にしたい」と話し、昭和58~59年に「梓(リンゴ)わい化栽培組合」が受賞に輝いた「日本農業賞と天皇杯をもう一度受賞したい」と意気込んだ。