JA上伊那管内で「信州伊那栗」の出荷が最盛期を迎えている。管内では飯島町を中心に、約45戸が20ヘクタールほどで早生品種「丹沢」と晩生種「筑波」を栽培。10月上旬までに約50トンの出荷を見込んでいる。
「信州伊那栗」は生産者やJAなどが農地を守るために遊休農地を活用し、2008年に生産を開始。産地化とブランド化を目指している。同町で和洋菓子を製造・販売する「信州 里の菓工房」と契約し、ほぼ全量を出荷。栗きんとんやモンブランなどの原料に使われている。
丹沢の収穫最盛期を迎えた9月13日、同町の一般社団法人「月誉平 栗の里」では、会員15人が約1トンを収穫し、選果した。会員は、昨年導入した栗を集めるための機械を活用しながら、木から自然に落下し十分に熟した実だけを手作業で収穫。その後、作業場で拾い集めた栗の実割れや虫食いの有無を確認しながら選別し、サイズごとに分けて出荷した。今年は10月10日頃までに約20トンの出荷を目指す。
同法人は約5.5ヘクタールで1500本ほどの栗の木を栽培。地域住民を中心に30代から80代と幅広い年代の約40人が会員登録し、収穫と選果作業をしている。また、同法人では今年から1日バイトアプリを活用。栗の収穫は単純作業が多く、気温が高い日が続く今時期でも木の日陰で作業できることから、利用者の需要もあるという。
アプリで見つけて申し込んだという伊那市の石倉佳祐さん(37)は「身体を動かしたいと思っていたときに栗の収穫作業を見つけ、惹かれた。地元の方と話しながら楽しく作業ができ、1日のつもりだったが全部で5日ほど予定を入れた。もっと若い人にも広がり、地域の人や文化に触れる機会になればいいと思う」と話した。
同法人の城田多加雄代表理事会長は「わが法人では『農業を守り、育てる』ことを大切にしている。栗の作業を通じて、より多くの人に農業を知って、分かってもらいたい」と期待した。