安曇野市とJAあづみは22日から2日間、JR東日本の社員を受け入れ、安曇野市三郷の果樹園でリンゴの摘果作業を行った。同JAが利用する1日農業バイトアプリ「daywork」の法人向け機能を活用し、同社社員とマッチングした。
同市は2024年9月20日から2日間、朝どれ農産物をJR新宿駅で販売する「あずさマルシェ」を計画している。同JAや同社が連携した取り組みで3年目を迎える。利用客からは「新鮮な農産物が買える」と好評を得ていることから、農産物の販路拡大や消費宣伝に繋げようとする一方で、農業の人手不足が浮き彫りになっている。そこで、マルシェに協力する同社社員が農作業支援に乗り出した。
22日、JR東日本本社と長野支社松本統括センターの社員6人が、マルシェに参加予定の塚田耕一さん(38)の圃場で一輪摘果作業を行った。塚田さんは「美味しい果物が作られるバックボーンを知っていただく事は消費拡大や農業への理解醸成に重要なことだ」とし、社員たちに摘果作業のポイントを丁寧に伝えていた。
JR東日本はこのアプリによる副業を数年前から認めている。現在、山形県や長野県などで主に展開している。本社マーケティング本部の石井遥チーフは「農作業支援が地域農業の課題解決の一助となり、企業間の連携を強化するきっかけになれば」とし、統括センターの梨子田盛一副長は「本業に活きる新鮮な体験になった」と話した。
今後も農作業支援は継続し、7、8月には梨や桃、9月にはスイートコーンなどの管理・収穫作業を予定している。
同市農林部農政課農業政策担当の鈴木喜美子係長は「作業の様子はマルシェまでに市のSNSやHPにアップする予定で、当日も催事場で周知する。観光誘致や農産物のPRに繋げていきたい」と強調した。
このアプリは、生産者と求職者を1日単位で結びつけるサービス。農家の人手不足解消や企業の従業員が副業やボランティアで農業などに携われるよう23年6月から県・JAなど23団体でつくるJA長野県農業労働力支援センターや同社、大手通信会社らが実証実験を行っていた。
同JA営農経済事業部農業企画課の原一道主任は「生産現場の人手不足は深刻。農繁期に労力が増えるのはありがたいこと」と感謝していた。