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「原山農園 きふたと」 2024年にワイナリー開業 家族とぶどう一致団結でワインを製造 | 県内JAの話題 | JA長野県グループ「農」のポータルサイト いいJAん!信州

作成者: いいJAん!信州|Sep 12, 2023 1:11:00 AM

原村の「原山農園きふたと」は、双子の姉妹日達桐子さん(24)楓子さん(24)を中心に家族4人でワイン用ぶどうを栽培している。2023年11月頃に同村でワイナリー「KIFUTATO WINES」の建設に着工。2024年に完成する予定だ。開栓時に広がる香りや豊かな味わい、インパクトのあるラベルがSNS上でも話題。「テロワール(産地の土壌や立地、気候)を感じてほしい」という思いで、全国各地の人にこだわりのワインを届けている。
原村は2020年12月21日、国により「八ヶ岳西麓原村ワイン特区」に認定。これにより酒類製造免許を取得する際に要求される、ぶどうを原料とした果実酒の最低製造数量基準が6キロリットルから2キロリットルに引き下げられ、より開業しやすくなった。2023年3月31日には、対象地域を拡大し同村・茅野市・富士見町が「八ヶ岳西麓ワイン特区」に認定された。ワイン用ぶどうは近年の酷暑の影響で、地域によっては栽培が難しくなりつつある。暑すぎる環境下では高温障害や急激な酸落ちが問題視されている。標高の高い同市町村は、十分に酸を保持しているため補酸の必要がなく、良質なワインを生産できることから、栽培規模の更なる拡大に期待が高まっている。
日達さん家族はホウレンソウ農家を営んでおり、父俊幸さんと母貴子さんが、年間約4000ケース(1ケース3.6キロ)をJAに全量出荷している。ワイン用ぶどうは、俊幸さんが遊休農地の活用を目的に2015年に植樹。2019年から収穫を始めた。2023年度は2ヘクタールのほ場で白ワイン用のシャルドネやソーヴィニョン・ブラン、ピノグリ、赤ワイン用のピノ・ノワールなど約10品種を栽培。10月上旬から11月初旬にかけて約3トン分を収穫し、委託醸造所で仕込む。2024年11月頃から直売やネット販売、全国の飲食店・酒屋に卸売りする計画だ。
農園名にある「きふたと」は家族4人の名前の一文字目をとって名付けたもの。
桐子さんは、実家がワイン用ぶどうの栽培を始め、大学時代のインターンでワイナリーを学んだことから興味を持ち、卒業後3年間ワイン醸造会社で社員として勤務。栽培や醸造技術を習得した。
楓子さんは「若者にも手に取ってもらえるように」と、ワインの瓶に貼り付けるラベルのイラストを作成。家族や、キツネがキジを追いかけている様子、いつもほ場につがいでやってくるカモなど、畑で起きた出来事などをモチーフに、カラフルで繊細かつ丁寧に描いている。
ワイナリーの建設は家族の夢だった。「ワイン用ぶどうを栽培した土地で、自分たちのこだわりで醸造したい」という思いからだ。黒を基調としたモダンなデザインで同村の自然と調和できる建物をめざしている。
桐子さんは「SNSでワインの写真とともに『ラベルがかわいい』、銘柄『グッジョブ』を入れて『今日も1日グッジョブ!』などと投稿してくれる人が全国にいてとてもうれしい」と笑顔。「今後も白ワイン品種を中心に栽培規模を広げながら、飲む人に原村を感じてもらい、日常の喜怒哀楽に寄り添えるようなワインを家族皆でつくりたい」と話している。
俊幸さんは「2人とも自慢の娘。それぞれの持ち味を生かして頑張っていってほしい」と2人の背中を押している。