茅野市の養蜂業者「蓼科養蜂合同会社」が5月8日、2023年初となる地元諏訪地域での採蜜作業を行った。県内外を行き来しながらセイヨウミツバチを飼育。蜜の種類ごとに商品化し、多くの人に国産純粋はちみつを届けている。
同社は1933年に創業。現在は、社長の矢沢健一さん(59)と従業員10人が勤務している。矢沢さんは妻千冬さんの父で2代目社長の吉田清登さんから3代目社長を受け継ぎ、今年で10年目となる。
花の開花時期に合わせて国内各地を移動する移動養蜂を行っている。5月初旬から県内20カ所で、さまざまな花の蜜を集めた「百花」や「アカシア」の採蜜を始める。6月下旬からは北海道で「キハダ」「シナの木」「ソバ」を採蜜。12月に三重県で越冬。2月から新年の飼育を行う。
また、農家に養蜂箱の貸し出しも行う。果樹の受粉に活用され、作業の効率化に繋がるため、ミツバチの役割は大きい。
この日は、市内で毎年作業を行う敷地内に養蜂箱20個を設置。巣枠を入れ替える人、遠心分離機を使ってはちみつを絞る人など分かれて手際よく進めた。今後、作業場で充分にろ過し、同社オリジナル商品「花の和(はなのなごみ)」の専用瓶などに詰める。
最盛期となる6月上旬~6月20日頃の採蜜は、養蜂箱1箱あたり1回で1斗缶(24キロ)の8分目ほどまではちみつがとれるという。
矢沢さんは「養蜂業の難しいところは、天候に左右されること」だという。急に暖かくなって一気に花が咲いてしまったり、遅霜で花が咲かなかったりすると、はちみつが採れなくなってしまうためだ。また、「機械は遠心分離機のみ。あとは手作業なので、人手が必要となる仕事」と語る。
しかし、「安全安心にこだわって商品とし、多くの人に味わってもらうのが喜び」とし、「はちみつは、ミツバチが命を懸けて集めてくれた自然の恵み。今年も1匹1匹に感謝しながら飼育・生産に励みたい」と意気込みを語る。