JA信州諏訪花き専門委員会きく部会は9月30日、富士見町のJA富士見町花き共選所で、愛知県の花き地方卸売市場「株式会社名港フラワーブリッジ」と連携し、「信州諏訪の菊を生けるイベント」を開いた。部会員、種苗会社・花材メーカーの担当者、JA関係者ら約50人が出席。プロのフローリストらが多種多様の花材や衣服にきくを生けて皆で鑑賞し、意見を交わした。産地の活性化、きくの新たな魅力発信につなげていく。
管内は、60年以上にわたり多品種のきくを栽培している一大産地。近年は、若手生産者を中心に洋ギク「ディスバッドマム」も盛んに生産されている。今年度の部会員は64人。
今回の目的は、実需者が花きを扱うようすを生産者に生で見てもらうこと。同社切花営業部付課長の浅野光寿さんが「イベントを楽しんでいただき、栽培意欲の更なる向上につなげ、今後の品種選びの参考してもらいたい」とJA・部会員に提案し、産地で初めて実現した。
当日は、部会員が輪ぎくやディスバッドマム、スプレーぎくなど40品種以上を持ち寄った。また花材には、大小さまざまな形の花瓶やフラワースタンドのほか、衣類や「峠のかまめし」でお馴染みの器を使用。季節の小物としてハロウィンカボチャが提供された。
アレンジメントを務めたのは、岐阜県のフローリストの柿本亜矢さん・阿部真己さん、愛知県の「学校法人菊武学園」教員の田中洋さん。作品は、色とりどりのきくとハロウィンカボチャでつくる豪華な鉢植えや、花きのほ場や地元高原でのウェディングをイメージした花束、襷掛けのようにきくを生けた白いワンピースなど。浅野さんが、フローリストや生産者とトークを交わしながら場を盛り上げた。約2時間で16点ができあがり、生産者らがそれぞれ持ち帰った。
柿本さんは「どのきくも大変素晴らしい品質で、生けさせてもらえてありがたかった。茎が曲がっているものも、私たちにとっては宝物のような素材。ロスを減らし、1本でも多く流通できる仕組みを検討してもらえればありがたい」と訴えた。
同委員会の岡部良和委員長は「諏訪のきくは発色がよいのが特長。魅力を最大限に引き出した作品をたくさん仕上げていただき、とてもうれしかった。今後もきくの需要が伸びていくよう、より多くの人に向けたPR活動を続けたい」と話した。