JAみなみ信州は9日、飯田市上郷の同JA上郷支所で、金融店舗を狙った強盗及び特殊詐欺を想定した防犯訓練を行った。年末に犯罪が増える傾向にあることから防犯意識を高めるとともに、強盗事件発生時の対応や詐欺被害の未然防止を目的に長野県飯田警察署協力のもと毎年行っている。同支所職員およそ30人が訓練に参加し、同JAリスク管理室、同JA金融共済部、同JA飯田支所、同JA座光寺事業所の職員ら10人も見学し同JA全体で訓練に取り組んだ。
同署によると長野県下では今年10月末時点で「オレオレ詐欺」などの特殊詐欺被害が143件発生し、昨年1年間の被害件数125件をすでに上回り、被害総額は2億4千万円にもおよぶ。また金融機関を狙った強盗事件も9件発生しており、犯人が高齢者や女性のケースも見られるという。
特殊詐欺「オレオレ詐欺」を想定した訓練では、80歳の男性が息子を名乗る男から電話で現金が必要との連絡を受け、定期貯金解約のため来店。高額の払い戻しを不審に思った窓口担当者が相談カウンターへ誘導し、詳しく状況を確認した上席者が詐欺の可能性が高いと判断、警察へ通報する一連の流れを訓練した。
強盗訓練では、拳銃を鳴らしながら犯人が店舗に侵入し職員を脅して金銭を要求。緊迫した状況の中、職員は非常通報装置を作動し、合言葉で事件発生を周りに知らせ、犯人の特徴を覚えるなど犯人の対応を行い警察へ通報した。逃走する犯人にカラーボールを投げつけるまでを行い、駆け付けた警察官の聴取に応じた。
訓練を終えた金融窓口担当職員は「訓練だとわかっていてもいざ拳銃を向けられると恐怖で頭が真っ白になった。日頃から防犯意識を持って業務に取り組む必要性を感じた」と感想を話した。
長野県飯田警察署生活安全課の宮澤小百合課長は「来店者へのあいさつや声かけで犯人は顔を見られたと感じ犯行を思いとどまることもある。普段から声掛けやあいさつを支所内で徹底いただき、犯罪防止に努めていただきたい」と話した。
同支所の上沼隆支所長は「緊迫した状況の中で落ち着いて対応する難しさを感じ、役割分担がいかに重要であるかを痛感した。防犯意識を高める大変良い機会となった。今後も職員であいさつや声掛けなどを徹底して防犯対策を強化していきたい」と話した。