長野市若穂綿内で「農地中間管理機構関連農地整備事業」を通じて、地域の農業振興をめざす「綿内東町地区農地中間管理機構関連農地整備事業実行委員会」は、8月24日、清水工区の区画整理や畑地かんがい施設整備等の工事に着手した。昨年開始された「山新田工区」とともに、23.2ヘクタールの農地の高生産果樹団地化、担い手への農地集積、りんご高密植栽培や半わい化栽培の導入につなげる考えだ。
この事業は、2017年(平成29年)、土地改良法の改正で中間管理機構への委託により、受益者負担なしで基盤整備が可能になることを知った駒村和久実行委員長(同地区前農業委員会員)と青木保 同会事務局長(現長野市農業委員会長)が中心となり、長野地域振興局(県)、長野市、(一社)長野市農業公社、土地改良事業団体連合会と連携、またJAグリーン長野の支援などを通じて、地元農家の理解を得ながら、区画整理等による生産性の向上と荒廃農地の再生、農地中間管理事業の活用による担い手への農地集積促進、りんご高密植栽培や半わい化栽培の導入による収益性の向上をめざしたもの。工区は令和2年(2020年)から工事が始まった山新田工区(12.8ヘクタール)と、今回の清水工区(10.4ヘクタール)。傾斜地に位置する清水工区は、リンゴ(ふじ)を中心に狭小な区画、石垣が支障となって防除機(SS)の安全走行が難しく、高齢化による離農で荒廃化していることも課題だった。
この工事により、区画平均面積は現状の1,000平方メートルから2,100平方メートルとなり、区画数は281筆から19筆に集約される。
大規模な切土によって地形勾配は約20~28%から、約10%となり、841メートルの排水溝、約2キロメートルの道路工事を行い、令和5年(2023年)春の定植をめざしている。
担い手となる地元生産者は、「いい農地に生まれ変わって、大変うれしいがその分、責任も大きい。責任をもってやっていかなければ」と決意を表明した。
実行委員会は8月24日、現地で「清水工区 工事起工・安全祈願祭」を開催。
実行委員、行政や地元生産者、施工業者、JA関係者などが出席し、小内神社宮司の祝詞で工事の無事を祈願した。駒村和久委員長は関係者に深い感謝を述べ、「受益者負担のない農地の集約・集積事業は大変ハードルが高かったが、過去から美味しいりんごができる地帯で非常に意義のある事業になるものと伝え、採択された。
ここは山新田工区から埋蔵文化財関係で1年遅れだが、着工となり非常にうれしい」とあいさつ。来賓出席したJAグリーン長野神農佳人組合長は、「度重なる自然災害で農家は大きな農業被害を受けているなかで、この事業は農業にとって、JAにとっても非常に喜ばしいこと。JAとして工事以降もさらなる支援に努める」と約束した。
山新田工区の工事進捗状況は75%で、2022年(令和4年)春には定植予定。
清水工区は、これから切土作業等が開始され、2023年(令和5年春)に定植を迎える。