JAみなみ信州は、職員が地域の特産品「市田柿」生産過程の作業を体験する農業研修を始めた。今年で3年目の取り組み。JAを代表する品目への理解を深めて組合員との対話活動に生かし、また市田柿の生産に貢献する狙いだ。
「市田柿」は、2016年に県内で初めて地理的表示(GI)保護制度に登録され、生産するJA柿部会が第48回日本農業賞の集団組織の部で大賞を受賞するなど、JAの基幹的な品目。
JAは17年に作成した「10年ビジョン」で、地域全体の「市田柿」生産販売額100億円を目指すことを掲げている。また、19年度からの3ヵ年計画では「組合員とJAとのつながりの強化」を重点事項に盛り込み、その具体策としてJA職員の対話活動に取り組んでいる。
同研修は、別で農業研修を行う入所2年目までの職員を除く495人の正職員全員を対象に、7月から8月の摘果、10月中旬から11月中旬の収穫、11月から12月にかけての皮むきやへた切りなどの加工を予定する。
摘果作業の初日となった5日、本所や支所から集まった10人の職員が、グループ会社(株)市田柿本舗ぷらうの社員と共に、同社が管理する圃場で研修を始めた。
この日は2グループに分かれ、雨まじりの天気の中朝7時から摘果作業を行った。
この日初めて摘果作業を行ったという松川支所総務信用課の春日胡桃さん(22)は「良い果実を育てるためにどれを残すべきかなど判断する摘果作業は難しかった。美味しい市田柿ができるまでにはまだまだ知らないことがあることがわかりました。地域の組合員の皆さんに教えていただきながら、もっと市田柿を知りたい」と話した。
同JAの小林正和専務理事は「農業者の組織なので職員は農業者や農業を理解しなくてはならない。非農家の職員が増えている中、体験を通じて農業への理解を深めてもらいたい。どんな作物を作っているか、今はどんな作業をされているのかなど、組合員の方との会話に生かしてもらいたい」と話した。