JA佐久浅間の組合員向け広報誌「JAHOO」(ジャッホー)の人気コーナー「絵手紙・四季の便り」が2021年3月号で連載を終えた。佐久市長土呂在住の絵手紙作家・中島袈裟幸さん(78)の型にはまらない自由な作風が人気を呼んだ。
中島さんは日々の創作活動のさなか、JA広報誌の読者のエピソードやイラストなどを掲載する「遊Youポスト」に絵手紙を投稿。ユーモアに富んだ心温まる言葉とともに、みずみずしい野菜や果物、いきいきとした魚や動物が描かれた絵手紙が広報担当者の目に留まり、17年4月号から「絵手紙・四季の便り」の連載がスタート。21年3月号までの4年にわたり、描き下ろしの絵手紙48点が誌面を彩った。
「日常の何気ないひとコマが人の心を動かす」というように、絵の題材は窓から見える浅間山、庭に育つ野菜や花、好物の魚など身近なものがほとんど。そこに実体験で感じた言葉を選んで書いていく。どんな題材でも生き生きと見えることを意識し、筆を小刻みに動かしながら揺れや勢いある線で描き、水彩絵の具を加えた顔彩で鮮やかに色を付けて作品を仕上げる。
中島さんと絵手紙の出会いは20年前。奥さんが申し込んだ絵手紙教室に代理で参加したのがきっかけ。講師が描いたアヤメに色付けする際、紙の上に絵の具がフワッと広がる瞬間を目の当たりにし、一瞬で虜になったという。中島さんの絵手紙にかける思いは強く、インストラクター養成講座の受講に始まり、筆の持ち方や色の塗り方など、独学で技術を磨いた。今では、地元の小・中学校や社会福祉協議会などが主催する絵手紙教室で講師を務めるなど、多忙な日々を送っている。
「『JAHOO』への掲載を通じ、農協との交流も生まれた。これも絵手紙のおかげ。これからも型にはまらず、感謝の気持ちを持って夢と笑顔を届ける絵手紙を描きたい」と語る中島さん。来月には、市内でJA広報誌に掲載した作品を集めた展覧会を予定している。