定年退職者やシニアを対象にした「365日大学農園部」は、長野市川中島町御厨のほ場で3月27日、体験農園「365日大学農園」での活動を始動した。11人・平均年齢72歳が参加し、会員間の交流の場、健康維持・意識の向上、シニアの「居場所づくり」につなげることを目的に、菜園での野菜作り、水田の稲作に励む。
「365日大学」は、広告会社会長小山秀一さん(72)が、2020年5月に定年退職者などシニアを対象に設立。会員365人をめざし、現在、県内在住者51人が所属する。対面交流をめざしたが、新型コロナウイルス禍、まずは、オンラインでの活動を開始した。毎朝9時から1時間Web会議システムZOOMを活用し、日替わりで会員自らが講師となり、体験発表・情報共有をしている。生活のリズムを整えるとともに、話す側・聞く側など「役割」を持つことで、退職後、交流機会の減るシニア世代の引きこもり予防、健康維持につなげる。
農園は、対面での部活動の一環。遊休農地化したほ場と水田を借り、会員の中から参加者を募集。ほ場6アールを12区画に分け、割り当てられた区画で参加者各々が好みの野菜などを育て、水田は皆で体験。原則、土曜日は皆が集まり、コミュニケーション・交流の活性化にもつなげる。
農園初回は、地元JAグリーン長野営農部(川中島営農資材センター駐在)柴田勇二営農技術員が講師として呼ばれ、協力。「土作り」やジャガイモの栽培方法を指導。参加者の多くが農業未経験のため、クワの使い方や作物選びなども個別に相談を受けた。指導後、参加者は割り当てられた区画をクワで耕したり草取りに励んだ。同市合戦場から参加した北村宣男さん(72)は、「田の作業をやってみたかったので楽しみ。畑は少し経験があるので、口だけでも、周りの人の役に立てればいい。付き合いが広がるのも嬉しい」と、目を輝かせた。
今後の作業は、農業経験のある会員2人が「指導員」となり、協力し合いながら栽培に取り組む。また、水田では、地元生産者の協力を得て機械作業も入れながら体験する予定。校長として小山秀一さんは「農作業で体を動かして健康になり、シニアの生きがいづくりにつながれば嬉しい」と話す。