JAながのの2020年度農産物販売高が300億円に達した。広域JAのスケールメリットを生かした総合販売力と地域別生産振興、生産者の技術向上による高品質栽培が相まって、効果を創出している。
20年度は、特に国内外で品質評価が高いブドウの販売が好調で、積極的に海外輸出も行い、前年比2割増の82億円に達した。リンゴは異常気象下でツル割れなどの発生も見られたが、積極的な系統共販率向上対策の展開により取扱数量を確保し、51億円の実績となった。きのこ類は、取引先との積極的なオンライン商談実施とコロナ禍の巣ごもり需要もあり、消費減退期となる時季にも価格低下を防いだ。花きは、イベントの縮小や中止が相次いだ影響で、消費が減少したため出荷調整や購買運動などの対策をした。9月には、JA農産物オンラインショップを開設し、ブドウやリンゴ、米、きのこなど管内農産物の取り扱いを始め、新たな商流で消費者を増やし生産者の期待に応えた。
また、コロナ禍でブドウ祭りやリンゴ祭りなどのイベントを中止したが、農産物直売所で直売所間連携を図り、各地区の特産物で品ぞろえを充実させて誘導した。5月の連休中の休業を余儀なくした直売所もあるが、インショップ直売も含め、全体の直売実績は前年を上回った。
JAは、広域にわたる管内のリレー販売と物量結集による販売強化に取り組んでいる。果実やきのこをはじめ、野菜、米穀、畜産、花きなど多くの品目が生産されており、長期間の安定供給を行い、有利販売につなげている。販売競争力強化策のひとつとして、管内各地の出荷農産物を本所で一括管理して販売する「多元集荷 一元販売」を行っている。量をまとめて販売することで大型企画提案などが可能になり、販売価格向上を図っている。
年々進む農家の高齢化や担い手不足による栽培面積の減少といった地域農業の課題がある中、タブレット端末を導入した営農技術指導の高位平準化やリアルタイムな情報発信、共同利用施設の再編や資材価格抑制によるコスト低減などの自己改革を進め、農業所得増大に結びつく盤石な体制構築を図っている。
営農部の山崎三成部長は「前年度の台風災害復興支援に加えて、コロナ過での農業支援を通じたJAへの結集と、生産農家のたゆまぬ努力の成果が300億円という一定の額に達した。今後も組合員と共に更なる高みをめざす」と意気込む。